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海外で学ぶ学生にとって、健康管理は大きな課題だ。海外校ではどのように学生の健康を守り、安心して学べる環境を作っているのか。
筑波大学マレーシア校では、ことびあクリニックと連携し、大学内での健康診断やインフルエンザワクチン接種を実施。これにより、学生が手軽に健康管理に取り組める環境が整った。
さらに、この取り組みは教育現場だけでなく、地域全体の健康意識向上にもつながる新しいモデルを目指している。
今回の対談では、筑波大学マレーシア校の五位野様と、ことびあクリニックの西田様が、海外校ならではの健康管理の課題や予防医療の価値、教育と地域全体に広がる医療支援の可能性について語る。教育と医療の連携によって生まれる「安心して学べる環境」と、その具体的な成果に迫る。
五位野(筑波大学マレーシア校):
筑波大学マレーシア校では、開校当初から「海外で生活する学生の健康管理」をどうするか、課題でした。
初年度は日本からの留学生が半数を占めていましたが、慣れない気候や食生活、言語の違いによるストレスなどから体調を崩す学生もいました。
西田(ことびあクリニック):
海外では「どこに相談したらいいのか分からない」という不安がありますよね。私たちも現地で生活している日本人の方々から同じような悩みを聞くことがよくあります。
五位野:
まさにその通りです。どういった病院があるのか、どうやって予約するのかなど分からないことが多く、まずはなんでも相談できる“かかりつけの医療機関”を見つけることが、大学として大きな課題だと感じていました。
五位野:
ある交流会を通じてことびあクリニックと出会いました。サービス内容を伺ったとき、日本語対応に加え、LINE による簡単な予約・相談システム、オンライン診療、お薬の配送サービスなどがあると知り、「これは学生や教職員にとって非常に心強い仕組みだ」と感じました。
西田:
ありがとうございます。
五位野:
海外生活に不慣れな学生や教職員が、手軽に相談できる――それが何より重要でした。さらに、急な体調不良時にも日本語で迅速に対応していただき、「健康をしっかり支えてもらえる」と思いました。
五位野:
本学医学医療系の教員の発案により、今年 9 月末に 10 歳~15 歳の子どもたちを対象とした「サイエンスワークショップ」を開催しました。 実験体験を通して科学の楽しさや探究心を育むという内容で、国籍を問わず多くの子どもたちに参加していただきました。
また、マレーシア国内のセカンダリースクールとのネットワークづくりも進めていて、模擬授業や特別講義を行う予定です。 地域と関わることで、知識だけでなく、人と人とのつながりから生まれる成長の機会を広げていきたいと思っています。
西田:
とても意義ある取り組みですね。ただ、教育を支えるには「健康」が欠かせません。学生や教職員が安心して学び・働けるよう、私たちも健康管理のサポートを常に考えています。
五位野:
大学は多くの人が集まる場で、感染症リスクも高くなります。ことびあクリニックと連携することで学生や教職員の健康を守る体制が整ってきたと実感しています。
五位野:
健康診断もインフルエンザワクチン接種同様にことびあクリニックさんにお願いしました。
事前の準備から当日の運営まで非常にスムーズで、学生からも「丁寧に対応してもらえた」「日本式の検査項目で安心できた」と好評でした。
西田:
若い世代のうちから健康を意識する習慣を持つことが、将来の生活習慣病の予防にもつながります。自分の体の状態を知ることが、健康行動の第一歩ですよね。
五位野:
実際に、健康診断のあとに肝炎、破傷風、日本脳炎などワクチンについて、ことびあクリニックに相談した学生もいたようです。健康診断を通じて、「自分の健康を自分で守る」という意識が少しずつ芽生えていることを感じます。
西田:
健診では、異常値が見つかった場合は再検査や精密検査のご案内を行いますが、合わせて「海外生活で気をつけたほうがいいこと」や「体調の悩み」に対して助言できたことは非常に意義がありました。
五位野:
そうした細やかな対応をしていただけるのは、本当に心強いです。親元を離れ海外で生活する学生にとって、心身共にサポートがあるのは、日々の安心感に繋がります。
西田:
また、健康診断と予防接種を大学内で実施できたことは大きな意義があります。「手軽に受けられる環境」が整ったことで受診率が高まり、学生たちの健康意識も確実に向上していると思います。ワクチンの相談が良い例ですよね。
五位野:
定期的な健康診断や予防接種といった「予防医療」は、学生の健康意識を変えられると思っています。
日本では当たり前に受けている健康診断や予防接種が、マレーシアではまだ一般的ではありません。
西田:
その通りですね。だからこそ、大学のような身近な場所で手軽に健康チェックやワクチン接種が受けられることが、重要です。さらに、予防医療を通じて「感染症を防ぐ」という意識も広められます。これは単に個人の健康を守るだけでなく、学校全体の安全性を高め、集団感染リスクの軽減にもつながります。
五位野:
学校側として、安心して学べる環境が整うことで、学生が心身ともに健全な学生生活を送ることができます。その結果、教育の質の向上にも寄与するのではないかと考えています。
五位野:
インフルエンザワクチンは学生、教職員だけでなく、教職員のご家族にもご案内し接種いただきました。これは地域全体の健康を守る取り組みの一例です。筑波大学マレーシア校は、教育機関としてだけでなく、企業や病院、行政と連携し、地域に根差した学校を目指しています。
西田:
それは素晴らしい取り組みですね。
地域全体で健康意識を高めることができれば、学生だけでなく地域社会全体の生活の質も向上しますね。学校・企業・医療機関・行政が協力する「地域健康モデル」としての可能性も広がります。
五位野:
はい。筑波大学マレーシア校だからこそできる取り組みを通して、学びと健康、そして地域社会全体の安心をつなげていきたいと思っています。
カリキュラムの中心に据えられている PBL(課題解決型学修)での連携の話も、担当教員と個別に進めていただいているようですし、今後はさらにことびあクリニックと連携の幅を広げていけたらと考えています。
