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「地域に貢献することも、医療機関の使命です」
異国の地で、子どもが突然高熱を出す。言葉の壁、医療システムの違い、夜間の不安――マレーシアで暮らす日本人にとって、家族の健康を守ることは、何よりも切実な課題だ。
「近隣に住む方々が病気にかからないように、地域に、社会に貢献する。それもまた、医療機関としての大切な使命ではないでしょうか」
そう語るのは、ことびあクリニックのSales Manager、西田啓二氏(37歳)。2児の父でもある彼が、今、この街の日本人コミュニティのために、ある挑戦を始めている。
それが、12月31日まで実施されているインフルエンザワクチンキャンペーンだ。相場RM100前後のところを、わずかRM20(約700円)という価格設定。採算度外視のこの取り組みに込められた、熱い想いとは――。
率直に言うと、このキャンペーンで利益は出ません。むしろ赤字です。それでも実施を決めたのは、私たち医療機関の本質的な役割は「地域の健康を守ること」だと信じているからです。
マレーシアに暮らす日本人コミュニティの皆さんは、異国の地で不安を抱えながら生活されています。言葉の壁、医療システムの違い、家族の健康への心配…。そんな中で、せめてインフルエンザという予防可能な病気から、皆さんを守りたい。その想いが、このキャンペーンの原点です。
RM20という価格設定にしたのは、経済的な理由で予防接種を諦めてほしくなかったからです。「家族全員で接種したいけど、費用が…」と躊躇する方をゼロにしたかった。一人でも多くの方に、安心して予防接種を受けていただきたいんです。

私自身、2人の子どもの父親です。子どもが熱を出して苦しむ姿を見るのは、本当につらい。それが予防できるものなら、親として何としても防ぎたいと思うのは当然ですよね。
でも、そう思うのは自分の子どもだけじゃないんです。この街で暮らす日本人の子どもたち、妊娠中で免疫が落ちている妊婦さん、受験を控えた学生さん、大事なプレゼンを控えたビジネスパーソン…。皆さん一人ひとりに、守るべき生活があり、夢があり、責任がある。
医療機関として利益を追求することも大切です。でも、それ以上に大切なのは、この地域に暮らす人々の健康を守ること。それが私たちの存在意義だと考えています。ビジネスとしての医療と、使命としての医療。両方のバランスを取りながら、でも譲れない一線は守りたい。このキャンペーンは、その想いの表れです。
まず、お子さんがいるご家庭ですね。インフルエンザは学校や幼稚園で一気に広がります。一人が感染すると、あっという間にクラス全体、そして家庭内へと広がっていく。お子さんが熱で苦しむだけでなく、看病する親御さんも感染し、最悪の場合、家族全員がダウンしてしまうケースも少なくありません。
特に妊婦さんは、免疫力が低下している上に、使える薬も限られています。お腹の赤ちゃんのことを考えると、予防が何よりも重要です。また、受験生や留学生の方々。人生の大事な局面で体調を崩すことは、取り返しのつかない結果につながることもあります。
それから、駐在員の方々。出張先で感染して帰国し、職場や家庭に持ち込んでしまうケースも多いんです。一人の予防が、周囲の多くの人を守ることにつながる。これが公衆衛生の本質だと思っています。
これは、私たちことびあクリニックが大切にしている価値観です。もちろん、体調を崩された方を全力でサポートするのは医療機関として当然のことです。365日年中無休、24時間日本語対応で、皆さんの「困った」に寄り添ってきました。でも、それだけでは不十分だと思っているんです。
本当に価値のある医療とは、「病気にならないこと」をサポートすることではないでしょうか。インフルエンザで高熱に苦しむ子どもを治療することも大切ですが、そもそもその子がインフルエンザにかからなければ、苦しむこともない。親御さんも心配する必要がない。仕事を休むこともない。
予防医療は、地味で目立たないかもしれません。でも、一人ひとりの生活の質を守り、この街全体の健康レベルを底上げする。それこそが、医療機関としての真の社会貢献だと信じています。
正直に言うと、すぐに目に見える変化は期待していません。でも、長期的に見れば、確実に意味のあることだと信じています。
例えば、ある家族がこのキャンペーンで予防接種を受けて、インフルエンザにかからずに済んだとします。その結果、お父さんは大事なプレゼンを成功させ、お母さんは安心して子育てができ、お子さんは元気に学校に通える。そんな小さな幸せが、この街のあちこちで生まれたら素晴らしいじゃないですか。
そして、「ことびあクリニックは、私たちの生活を守ってくれる場所なんだ」と感じていただけたら、それが最高の成果です。医療機関は、病気の時だけ行く場所ではなく、日常の健康を支えるインフラであるべきだと考えています。
このキャンペーンが、「予防って大事だな」「健康への投資って必要だな」と考えるきっかけになれば、それだけで大きな価値があると思っています。
これは、常に向き合っている難しい問題です。医療機関も経営が成り立たなければ、継続できません。スタッフの給与も払えないし、質の高いサービスも提供できない。
でも、目先の利益だけを追求すれば、本来の使命を見失ってしまいます。私たちが大切にしているのは、「持続可能な地域貢献」です。
日々の診療を誠実に行う。その上で、こうしたキャンペーンのような、採算度外視の地域貢献活動を行う。メリハリをつけることで、ビジネスとしても、社会貢献としても、バランスの取れた医療機関であり続けられると考えています。
短期的な損失は覚悟の上です。でも、長期的に見れば、地域の皆さんに信頼され、必要とされるクリニックになることが、私たちが目指すべき姿だと思っています。冷静に計算すれば赤字ですが、熱い想いで挑戦する価値は十分にあります。
インフルエンザは、予防できる病気です。そして、あなた一人の予防が、家族を、職場を、学校を、そしてこの街全体を守ることにつながります。
RM20という価格は、私たちからの「どうか、ご自身と大切な人を守ってください」というメッセージです。経済的な理由で諦めないでほしい。12月31日まで、いつでもお越しください。
私たちことびあクリニックは、皆さんの生活インフラでありたいと思っています。病気の時だけでなく、健康な時も、日常の中で気軽に頼っていただける存在でいたい。
この街で暮らす皆さんが、安心して、健康に、笑顔で毎日を過ごせるように。それが私たちの願いであり、使命です。一緒に、この冬を元気に乗り越えましょう。
