ホームインタビュー【旬な話題を訊くVol.12】創立30周年を迎える 富士フイルム(マレーシア)の 進化の秘密とは
【旬な話題を訊くVol.12】創立30周年を迎える 富士フイルム(マレーシア)の 進化の秘密とは

【旬な話題を訊くVol.12】創立30周年を迎える 富士フイルム(マレーシア)の 進化の秘密とは

2021.09.02 旬な話題を訊く
屋台骨を大いに揺るがせたデジタル危機を乗り越え 今またコロナ禍の荒波に真っ向から挑む
今回お話を伺ったのは…… FUJIFILM (Malaysia) Sdn. Bhd. Managing Director 松浦 裕之氏 1991年に現地法人「富士フイルム(マレーシア)」を設立、今年で創立30周年を迎える。 カメラやフィルムのデジタル危機襲来時には同業他社が荒波に乗り込まれる中、グループ一丸となって多角経営へと舵を切り、長年に渡り培ったノウハウを医療、化粧品、デジタルイメージングの分野へと応用して事業構造を大きく転換。 この試みは成功し、顕著なビジネス成功例として世界的に注目を集める。 そんな中、新型コロナウイルスのパンデミックが世界を襲った。富士フイルム(マレーシア)は、いかにこの厳しい状況に対処してきたのか。 同社の現況ならびにコロナ対策について社長の松浦裕之氏に話を伺った。
未曾有の困難を乗り切った過去の経験を踏まえ多角化を推進、コロナ禍を乗り切る! 富士フイルムが未曽有の危機を迎えるのは今回が初めてではありません。 2000年以降に突如訪れた写真のデジタル化による本業(カラーフィルム)消失の危機を経験しています。当時、富士フイルムの売上の6割は写真フィルム事業でした。 そこで、第二の創業を掲げ、デジタル技術の自社開発、新規ビジネス創出に舵を切り、ビジネスの多角化に積極的に乗り出しました。 取引形態をB to C中心からB to Bに重きを置き始めたのもこの時期です。 もともと弊社は、映画フィルム生産から始まった企業です。そこから写真フィルム、レントゲンフィルム、カセットテープ、ビデオテープなど、時代の波の中で必要とされるものや、各時代を特徴付ける品を生み出してきました。 そのため、潮流に合った事業を見出すことができ、その多角化にも柔軟に対応できたのかもしれません。 実際、X線写真のデジタル画像化に世界で初めて成功したのは弊社です。 現在は、ヘルスケア事業、高機能材料事業、ドキュメント事業などの複数の柱に据え、このコロナ禍を乗り越えようと尽力しています。 ドキュメント事業はグループ会社である富士ゼロックスがビジネスを推進しておりましたが、2021年4月1日より「富士フイルムビジネスイノベーション」に名前を変えて、FUJIFILMブランドとして新たなビジネスを展開するとともに、富士フイルムグループの技術力や知恵を集結し、シナジー創出を加速させ、より革新的な商品やサービスをさらに多くのお客様にお届けして参ります。 富士フイルム・マレーシアのヘルスケア事業とは 今、グループ全体が最も力を入れているヘルスケア事業は予防、診断、治療の3分野から構成されていますが、マレーシア法人では主に、「診断」に関わる事業促進を図っています。 具体的には、X線、内視鏡検査、超音波検査用の各診断装置を当地の医療機関にご提供しています。 また、マレーシアの疾病傾向として肺疾患が多く見られること、地域医療、へき地医療の改善が当地における大きな課題であることから、高性能なシステムから小型でポータブルなX線装置まで多様に渡る診断装置の開発・普及に努め、マレー半島東海岸や東マレーシアを含む各診療所にも足を運んで設置を進めています。 また、今後、CT・MRIなどの大型診断装置についても販売を予定しており、マレーシア国内での医療診断機器プロバイダーとしてNo.1になることを目指しております。 新型コロナウイルスによるパンデミックが写真産業に与えた打撃とは マレーシア政府による活動制限令(MCO)が発令された2020年3月以降、結婚式や卒業式など、あらゆるイベントの開催が中止・延期され、旅行にも行けなくなりました。 そもそも写真とは「記録」であり、「思い出」です。 つまり、残すべき記録や思い出に残るイベントが制限されてしまったわけです。 これを受け、カメラマンによる撮影、アルバム制作、プリントサービスなど、写真産業界に対する需要が一時大きく停滞、未だコロナ禍以前のようには戻っていない状況です。 ステイホームとSNSが市場に変化をもたらす 一方、厳しい活動制限令が続くにも関わらず、マレーシアでは撮ったその場でプリントが楽しめるインスタントカメラであるチェキ(当地商品名インスタックス)の売上は巣ごもり需要の恩恵もあり、昨年下半期からは前年売上を上回る伸びを見せています。 これはマレーシアに限らず世界的に見られる傾向で、若者の間で「思い出を写真プリントにして残す」ことがファッションとして受け入れられているようです。 ステイホームおよびSNS時代が、B to Cビジネス市場に大きな影響を及ぼしているようです。 これまでチェキは女性の間での人気商品でしたが、4月21日に若い男性をメインターゲットとしたmini40を発売。 マレーシアのメンズブランドPMC(Pestle & Mortar Clothing)とコラボしたスペシャルエディションは、発売開始から3日で売り切れるという現象を見せました。 これを機に、幅広いユーザー層に対して、思い出を形に残せる写真の素晴らしさが再認識されると嬉しいです。 社会的課題を解決する企業でありたい 2000年危機をはじめとする大きな壁を目の前にする度に、我々は「社会的課題を解決する企業でありたい」という理念に立ち戻り、それこそが危機を乗り越える鍵であると気付かされてきました。 コロナ禍で緊急に設立された大規模コロナ治療センター向けのモバイルX線診断システムの導入やコロナウイルス増殖抑制に期待のかかるアビガンの供給、またこの国の主要産業のひとつでもある石油天然ガスプラント向けの非破壊検査ソリューションの提供など、今この地で何が求められているかに思いを馳せながら、試行錯誤の日々を過ごしています。 多角化してきたどの事業も人々の幸せに貢献し、笑顔をもたらすものと自負しています。 これからも、社会的問題解決をあきらめずに挑戦することを意味する“NEVER STOP”をモットーに、マレーシアのみなさんに寄り添うサービスを心がけてまいります。
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FUJIFILM (Malaysia) Sdn. Bhd. 22, Jalan Jurunilai U1/20, Seksyen U1, Hicom-Glenmarie Industrial Park, 40150 Shah Alam, Selangor WEBサイト
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