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キタニタツヤ 初のクアラルンプール公演 特別インタビュー

キタニタツヤ 初のクアラルンプール公演 特別インタビュー

2025.04.03 特別インタビュー

2025年5月に自身初のアジアツアー【Tatsuya Kitani Asia Tour 2025】を行うキタニタツヤさん。東京大学在学中の2014年頃にネット上に楽曲を公開し始め、シンガーソングライター以外にも、ベーシストや楽曲提供などジャンルを越境した活動を行い、その多才ぶりから今最も注目を浴びるアーティストの一人です。
4月26日にはZepp KLで行われる新しい都市型フェス『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025』への出演が決定し、自身のツアーに先駆けマレーシアでのライブが実現!東大で学ばれた美学芸術学や哲学的な視点や、マレーシアのイスラム文化への関心など、興味深いお話を伺いました。


『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025』がご自身初めてのクアラルンプール公演になるかと思いますが、これまでプライベートでマレーシアにいらっしゃったことはありますか? 

いいえ、人生で初めて行きます!以前イベントでシンガポールには行きましたが、その時の印象だと気温はすごいジメジメして暑かったです。でも食事はシンガポールの出店がいっぱい並んでるところに食べに行ったんですけど、めちゃくちゃうまかったですね。


そうでしたか!そういった点でいうと、マレーシアとシンガポールでは文化的にはあまり変わらないと思いますよ。 

ですよね。食文化は、個人的にはすごい好みだったので、全然余裕で長期滞在できるなって思いました。その時はライブイベントで行ったんですが会場周辺をテクテク歩いてたら、マレー系のファンの方々4、5人ぐらいに声をかけて頂いたんですよ。一生懸命、日本語で喋って頂いて、そうやって知ってくださっている方もいるんだなと、すごくびっくりしました。


マレーシアの方の中でも、日本のアニメ文化は絶大なる人気で、アニメを通して日本の音楽や文化に親しむ海外リスナーも多いかと思います。これまで『BLEACH』『呪術廻戦』『推しの子』など多くのアニメ主題歌を手掛けていらっしゃるキタニさんからみて、日本のアニメカルチャーの魅力とはどのようなものだと思われますか? 

アニメは、あらゆることを伝えられるフォーマットですし、中身に何でも入れられる優秀なメディアだと思います。それこそ、僕のような音楽もそうですし、日本人の価値観とか、日本の実際のリアルな生活がどういう風になってるかとかまで、全部アニメ越しに伝わるじゃないですか。別にね、日本の生活を知ろうと思ったら、各国の放送局で何かドキュメンタリーとかがあるのかもしれないし、本を読んでもいいですけど、それをカジュアルに伝える手段として、アニメというメディアはすごく魅力的だし、だから広まりやすいんだろうなと思います。


これまでキタニさんがアニメのお仕事を多く担当されているのは、ご自身が意図的に選んで受けていらっしゃるんですか? 

今は、たまたま機会をいただいて、こういう仕事を多くさせて頂いてるんですけど、自分がアーティストを始める前から、職業作曲家としてアニメに携わらせて頂くことは多かったです。そもそも、自分は何の仕事をするんだろうって就職の事を考え出した時に、アーティストとして、いうよりも裏方としてアニメの曲とかを作れるようになりたいと思って、作曲家を先に志してたんです。それで、流れ流れて今ここに来てるので、「アニメに関わりたいな」っていうのが、最初のモチベーションとしてはありました。


ドラマや映画音楽とかではなく、アニメだったのですね。 

ドラマとかの音楽にも、その奥にはそういう仕事で生計を立ててる人が当たり前にいるわけですけど。まだ子供だったんで、たまたま裏方として「音楽を作る仕事」を初めて認識したのがアニメだったんです。ある時アニメの曲を聴いてて、似た質感でやたらいい曲ばっかりが並んでる作品があったんです。それで、作曲家の名前を見たら全部同じ人だと気づいて、そっか、表には出てこないけどクリエイターとして個性が発揮されてる人が実際にいるんだと。それが、俺みたいな高校生にも届いてるのかって思って、自分もそういう仕事をやりたいと思うようになりました。


きっと、今日本のアニメを見ている海外の若者の中にも、同じように、キタニさんの音楽に興味を持ったり、そこから影響を受けている方もいるでしょうね。例えばビジネスの世界でも「海外の方の心を掴みたい」と模索している日本人は多いと思うのですが、キタニさんが考える「日本人が海外の方の心を掴む為のポイント」って何かありますか? 

うん…あんまり掴めている実感が、まだ自分にあるわけではないですけど…。でも、音楽的な話でいえば、初期の頃は僕も、海外の人に聞いてもらうために「海外洋楽らしいエッセンスを音楽に入れるべきなんじゃないか」みたいなことは考えたこともありました。でも、それだと結局、「じゃあ、洋楽を聞けばいいじゃん」っていうことになっちゃうって徐々に気づいて。それで最近アニメの曲を作らせて頂くようになったら、海外でも聴いて下さる方が増えてきた。なので日本人として、日本の音楽が好きで、そのまま日本の音楽ばっかり聴いて育ってきたので、自分の好きなものをそのままアウトプットしていたら、日本の音楽らしさになっていて、それが海外の、なんというか…物好きな方ですよね(笑)何か聴いたことねえ音楽が聴きてーって、積極的に探しているニッチな人には面白がって頂いて、こうやって気に入ってもらえる。だからといって、海外で大人気になるかっていうと、それは違うと思うんですよね。日本の音楽とか日本のカルチャーって、ガラパゴス的な部分があると思うので、自分が好きなものをまっすぐやってりゃ、伝わる人には伝わると思うんで、それでいいんだなとは割と思いますね。


なるほど、自分が万人に合わせていこうとするよりも、自然な自分らしさを突き詰めて行くことが意外な鍵になるということなんですね。 
今回『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025』のイベントコンセプトは「日本の響きを世界へ」ということですが、今後はアジア公演だけでなく、欧米とかそういったところにも関心はお持ちですか? 


今はそんなに考えてないかもしれないですね。自分がこれまで全く海外旅行とかをしたことない人間で、興味も持ってこなかったですし。もし、旅行するとしても、カルチャー的にアジアの国しか思い当たらなくて、多分自分の音楽はアジア人の方が伝わりやすいだろうなとも思うし、きっと仲良くなれるのも概ねアジア人の方が多いだろうなと想像するし。アジアだけでも国はたくさんありますし、西はトルコまであるわけですから、めちゃくちゃ広いですよね。それに、人口も半端じゃないじゃないですか。なので、まずは距離の近さで、届きやすい方にまずは届けるのが先決かなと思いますね


今度マレーシアにいらっしゃる時に、楽しみにしていらっしゃることは何かありますか? 

ムスリムカルチャーで言うと、僕、建物めちゃ見たいなと思って。それこそシンガポールの時も、モスクとかを外から見てるだけでもテンション上がりましたね。


お好きなんですね。せっかくイスラム教の話が出てきたので、実は伺ってみたかった事があったんですが、キタニさんの音楽には宗教的な、例えばキリスト教的な哲学みたいなものを歌詞の中に感じる事がありますが、何か意識されているんですか? 

あぁ、自分が大学で勉強してたのが西洋の哲学だったので、必然的にキリスト教的な価値観が織り込まれてるようになって、そういう影響はあるのかもしれませんね。自分は、何か特定の宗教を信仰しているわけではなく、まあ一般的な日本人的な無宗教者ですけど。強いて言えば最近、道徳的実践として仏教の勉強をちゃんとしたいなって思ってます。なんというか、精神修行として(笑)ずっと気にはなってましたけど、カルチャー的に1番関心があるのはイスラム教ですかね。自分が信仰するという意味合いではなくて、装飾とかがめちゃくちゃかっこいいなと思うので。学生の時に、地理とか世界史とか、そういう科目を集中して勉強していたので、マレーシアでいったら、世界史にめちゃくちゃ出てくるマラック海峡とか、そこの都市群とか…そうだ、やっぱり、マレーシア興味あるものたくさんあるな(笑)


マレーシアは教育移住や留学先としても人気が高く、多くの日本人が学びにきている都市です。キタニさんは、音楽活動をお休みされて受験に挑まれ、東京大学をご卒業されましたが、活動の中で「学校での学び」が生かされていると感じる点はありますか? 

そうですね、先ほど話したような大学で学んだ倫理学、哲学みたいなものは、割と自分の中に内面化してるというか、歌詞を書く上で少なからず影響を受けていると思います。美学芸術学っていう、なんか美術や芸術に関する哲学みたいな領域を専攻していたんですよね、なんかこう、「芸術とはどうあるべきか」みたいなことをやっていたので、「自分の音楽はどうあるべきか」みたいなものを常々考えてしまうのは、やっぱり大学でついた癖です。そういうところでは、大学の学びは生かされてるなっていう気はすごくします。


高校時代から既に音楽活動をされてたと思うんですけども、学業との両立は難しかったですか? 

音楽を作り始めて最初の頃は、全然勉強しなくなっちゃって、成績がガクッと下がったんですけど。でも結局、受験期とかでは両立することで困った経験も、頑張ったっていう感覚も実はあんまなくて。音楽ほどではないけど、勉強も割と好きではあったんで、音楽の息抜きにちょっと学校の勉強をするみたいな感覚だったのが、自分としてはすごく幸運だったんですけど。たまたまそういう性質だったというか。でも、その結果として、どっちもある程度ちゃんとやれたのは、すごく自分の財産にはなってますね。


素晴らしいですね。今後のご自身の展望として、何か考えていらっしゃることはありますか? 

あんまりそんな大それたことは考えてないですけど、まず日本の中で天下取りたいなとか思ってます。その、そもそも自分の音楽とか、自分の書く言葉が、自分でめっちゃ大好きなんですよね。やっぱり、超毎日自分の曲を聴いて自画自賛してるんで(笑)それをたくさんの人に知ってもらわないと困るよ!みたいな感覚なんですよ。なので、まずは日本国内でちゃんと、誰しもが名前を知ってて、2、3曲知ってるみたいなアーティストになりたいんですよね。その目標を頑張ってるうちに、海外でも少しずつ聴いてもらえるようになれば、自分としてはベストだなと思っています。


今度はご自身のツアーでもまた是非マレーシアに来て頂きたいです! 

ちゃんとライブで成功して、またマレーシアや海外にライブしに来るっていうのが理想ですね。2年に1回、3年に1回ぐらいは海外にも行けるようになったらいいなと思うので、ぜひぜひ僕の音楽を聴いて頂いて、マレーシアでもお友達に広めておいてください!


4月26日Zepp KLにて開催される『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025』
詳細はこちらから
 https://central-fest.com/s/central/page/eventkualalumpur

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