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マレーシア国際貿易産業省主催、マレーシア国際ハラル見本市(MIHAS「Malaysia International Halal Showcase 2023」)が、9月12日~15日にクアラルンプールのマレーシア国際貿易展示センターで開かれた。
世界最大級のハラル産業の展示会であり、19回目となる今年は、昨年の620社を大きく上回る1,040社が世界中から参加。
ジャパンパビリオンには、日本貿易振興機構(JETRO)クアラルンプール事務所の支援で20社80商品、さらに独自出展の5社の商品が並んだ。
JETROの支援で出展した20社のうち、初出展は8社。青森産りんごジュースを販売する企業は、「より多くの世界中の人に商品を紹介していきたいと思い、国産りんごジュースで初めてハラル認証を取得し出展を決めた」そうだ。
また、北海道の帯広商工会議所も出展した。
国際協力機構(JICA)のプロジェクトを通して、マレーシア北部のクダ州と10年近くハラル食品開発や観光などの地域活性化事業で連携している。
帯広商工会議所・国際ビジネスコーディネーターのQomarul Ariffin Bin Mohd Ali (リフ)氏によると、当初は宗教に関することに触れない方がいいのではないかという日本側の意見もあったという。しかし、JICAの研修プログラムを通してクダ州の人たちと意見を交わし理解を深める中で、少しずつ認識が変わっていったそうだ。
これまでにハラル認証を受けた和菓子の大福などを製造・販売したほか、今回の見本市では、十勝産のわさびなどの地元食材も多く展示した。リフ氏は、「商品を開発してハラル認証を取るだけでなく、十勝産の食材をマレーシアの企業に知ってもらいハラル商品に使ってもらえたら」意気込みを語った。
JETROクアラルンプール事務所の小野澤麻衣所長は、マレーシアは2つの視点から、ハラル産業における高いビジネスのポテンシャルがあるという。1つはマレーシアの市場の可能性、そしてもう1つは第三国輸出の可能性だ。
マレーシアでは、人口約3,300万人のうち、イスラム教徒が約6割を占める。これまでの日本食の主な購買層は華人系の富裕層と言われていたが、経済成長に伴う中間層の所得向上や健康志向の高まりを背景に、ムスリムの日本の食品への関心も年々高まっている。
さらにマレーシアのハラル認証「JAKIM」は世界的に信頼性が高く、マレーシアで認証を取得していればその後の他国での展開がしやすいとも言われている。加えて、国全体で英語を話す人が多く、基礎的なビジネス環境が整っていることも、日本企業がビジネスをしやすい大きな要素になっているという。
小野澤所長は、「マレーシアはムスリム市場の潜在性だけではなく拡大を足がかりに、第三国に輸出をするという可能性も秘めている。世界のグローバルなムスリム市場に向けた輸出拠点や、最終的には製造拠点になるかもしれない。マレーシアにハラルハブとしての可能性を見ている日本企業は多く、これからも支援をしていきたい」と話した。
ハラル産業開発公社(HDC)によると、マレーシアのハラル産業の市場規模は2025年までに1,474億米ドルに達すると予想されている。
また、国営ベルナマ通信によると、アフマド・ザヒド・ハミディ副首相は13日に行われたハラル関連のフォーラムで、ハラル認証手続きを、30営業日以内に完了させる必要があると述べている。年単位の時間がかかることもある認証取得を簡素化させることで、より市場をより活発化させたい考えだ。
ますます注目が集まるハラル市場だが、会場で取材をしていたハラル専門の媒体「The Halal Times」のHafiz Maqsood Ahmed 編集長は、ぜひ日本国内でハラルにもっと注目してほしいという。
「東京を拠点に取材をしている。世界のほかの都市と比べて、まだまだハラルへの理解が低く、日本での食事など生活に困難さを感じているムスリムが多い。ハラルの日本商品が海外で広くビジネス展開をすると同時に、ぜひ日本国内でもっと認知が広がり、より多くの商品にハラル表示がされ、必要な人が安心して生活できるようになることを願っている」と話していた。