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世界へはばたく日本酒と日本文化 吟醸酒を味わう会 in マレーシア

世界へはばたく日本酒と日本文化 吟醸酒を味わう会 in マレーシア

2023.08.09 イベントレポート

世界へはばたく日本酒と日本文化吟醸酒を味わう会 in マレーシア

7 月 25 日、在マレーシア日本国大使公邸にて、「吟醸酒を味わう会 in マレーシア」が開催された。

32蔵もの酒造所が来馬し、吟醸酒の良さを PR。

Miss SAKE※1 や日本酒インフルエンサーも会場に来場し華を添えた。

翌日 26 日には JETRO 主催による日本酒商談会 2023 in Malaysia がThe Royal Selangor Golf Club にて行われ、総勢 34 戸前の酒蔵が来馬し参加。

大盛況のうちに幕を閉じた。

 

Miss SAKE とは?

外務省や国税庁の後援受け、10 年前に始まったプロジェクト。

20~39 歳までの、日本文化に造詣が深い女性アンバサダー。

振袖を身に着けた彼女らは、日本酒を中心に、器や着物など日本の伝統文化の魅力を日本国内外に発信している。

これまでに19カ国・地域、合計37都市で活動(2023 年 7 月現在)。
 

日本酒から器、料理、観光へ

日本文化の入り口としての役割を果たす日本酒

日本酒の輸出量はこの 10 年で 5.3 倍にもなる。

近年では日本酒を日本料理以外の料理にペアリング※1 して楽しむという食事スタイルもトレンド化しつつある。

また、日本酒か ら派生してその器に関心を持つ、酒作りを行っている地域に旅行するなど日本酒を入り口にして日本文化に触れる外国の方も増えているという。

そんな今改めて注目される日本酒の魅力を髙橋大使、2022 Miss SAKEの磯部里紗さん、日本酒インフルエンサーのひろさん、いとみゆさん、吟醸酒協会の北原対馬さんにそれぞれ伺った。
 

在マレーシア日本国大使 髙橋克彦氏へのインタビュー

Q. 今回のイベント開催に至った経緯は?
お酒好きが興じて妻とともに知り合った吟醸酒協会さんとコロナ禍が落ち着いたこのタイミングで、ぜひマレーシアの方に日本酒をより深く知っていただく機会を作ろうということで開催する運びとなりました。

Q. 現地に住むマレーシア人から、日本酒にどのような感想を持たれることが多いですか?
香りがいいという感想や、日本料理に合うという感想をいただいています。 

また、日本酒=アルコール度数が高いという認識を持たれている方も多いのですが、飲んでみると意外に飲みやすいという意見も多くあります。


Q. おすすめの日本酒はありますか?
よく聞かれる質問ですが、私は岩手出身なので、地元のお酒をご紹介しています。

今回出展されているお酒の中では、南部美人さんや浜千鳥さんなどです。


Q. 日本文化を世界に発信する立場として、現在の日本酒の立ち位置をどのようにお考えですか?
日本酒の輸出量はこの 10 年間で 5.3 倍にも伸びており、これは国際的な輸入量増加のトレンドと同じペースです。これだけでも非常に高い可能性を感じていますが、私はまだまだ伸びる余地があると考えています。

輸出総量は勿論ですが、日本酒とはその生産地に深く関わっているプロダクトです。

消費者に地域への理解を深めてもらい、そこからインバウンドに繋がり、日本酒から始まる経済的な好循環を生み出してほしいと考えています。


Q. 主催者として読者にメッセージをお願いします。
日本酒は今後マレーシアでもどんどん普及していくと思います。

その中で、ぜひ皆さんのお気に入りの日本酒や地元のお酒をマレーシアの方に紹介し、日本文化の発信にご協力頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。
 

2022 Miss SAKE 磯部里紗さんへのインタビュー

Q. 2022 Miss SAKE に応募された動機をお聞かせください。
フランスに留学経験があり、今も働いているのですが、海外生活を通じて正しく日本文化を伝えたいという気持ちが生まれました。

そんな中で Miss SAKE のお話があり、ここで一歩踏み出せば未来が開けるかもしれないと思い応募を決めました。


Q. 日本酒を好きになった経緯をお聞かせください。
元々はフランスにいたこともあり、ワインが好きでよく飲んでいました。

日本に帰った際に酒造を訪れる機会があって、その美味しさに驚きそれまでの日本酒のイメージが変わったことがきっかけです。

私は美味しいお酒を食事と合わせるのが好きなので、"食事に合う醸造酒"というのもポイントかもしれません。

食事を楽しみながら、素敵な時間を仲間と共有できるところも大好きです。


Q. 今後、どうやって日本酒を世界に広めていきたいとお考えですか?
日本料理だけでなく。

その土地の食事にぜひ日本酒を合わせていただきたいと思います。

現地のレストランに日本料理抜きで日本酒を入れてもらうのは難しことかもしれません が、一歩新たな挑戦をしてもらいたいと思います。

また、食中酒としてだけではなくて アペロ※2  の習慣がある国で、是非もっとカジュアルに日本酒を取り入れていただきたいですね。


Q. ご自身にとって日本酒とは?
美味しいお酒であるというだけではなく、日本文化に触れるドアのような存在です。

現在伝統的酒造りがユネスコの無形文化遺産として登録されようとしていますし、そういった伝 統的な技術面の素晴らしさに触れたり、お酒から派生して器の美しさに興味を持ったり、日本酒があらゆる日本文化を繋げてくれていると思います。


Q. マレーシアに住む日本人の方にメッセージをお願いします!
皆さん、現地にもご友人がいるかと思います。

ですので、ホームパーティーなどに招かれた際にはぜひ日本酒を携えて、まだ日本酒の素晴らしさを体験したことのない方に日本酒の美味しさをアピールしていただきたいと思います。

日本酒を異文化コミュニケーションとして活用していただけたら Miss SAKE としても嬉しいです!
 

日本酒インフルエンサーひろさん、いとみゆさんへのインタビュー

Q. 日本酒インフルエンサーになったきっかけを教えてください。
いとみゆさん:お酒を一人で楽しむだけじゃなく、みんなと共有したい、広めたいと思ったのがきっかけです。

現在は利き酒師の資格も取得しました。

ひろさん:海外に住んでいるときに、海外に出ると日本酒が Japanese Sake と一括りにされてしまって、誇るべき文化なのに良いところが正しく伝わっていないと思ったことがきっかけです。

Q. 日本酒にハマったきっかけを教えてください。
いとみゆさん:日本酒を主に扱っている飲食店で働いたことがきっかけで、イベントで酒蔵さんと出会いその奥深さを知ってから日本酒の勉強を始めました。
ひろさん:元々ワインやビールも好きで飲んでいたのですが、日本酒はスクリュー式なので、保存ができる。自分のペースでゆっくり味わって飲めるというところに惹かれました。開けて一週間経つと味が変わっていたりしてそんな変化も楽しみの一つです。


Q. 甘口辛口どちらがお好きですか?
いとみゆさん:ずっと飲めるものでいうと、辛口のほうが好きですね。

酸味が強いすっきりとした味わいの辛口が好みです。

ひろさん:私も辛口が好きなんですが、酸味が得意ではなくてお米そのもの味が感じられる旨味強めのものが好きです。


Q. お気に入りの日本酒は?
いとみゆさん:土井酒造場さんの「開運」です。

開運というネーミングが年末年始にピッタリで、楽しい思い出とともにお気に入りです。
ひろさん:宮坂醸造さんの「真澄」です。旅先で出会ってお料理との相性が抜群だったので、記憶に残っていて、東京に戻った時にまた出会って美味しいと思ったので一押しです。


Q. 最後に今後の日本酒インフルエンサーとしての展望をお聞かせください。
いとみゆさん:日本酒を通して笑顔を増やしたいと思って活動しています。まだ日本酒に出会っていない方、特に若い学生さんなどはまだ飲めないけれど、誇れる日本文化としての日本酒の魅力を発信し、国内外の皆さんに楽しく伝えていきたいです。
ひろさん:旅と日本酒をテーマにしておりますので、日本の地方ごとの味の違いや良さを海外の方に広めていく活動をしたいと考えています。

 

いとみゆさん Instagram

 

ひろさん Instagram
 

吟醸酒協会所属     山梨銘醸株式会社代表 北原対馬氏へのインタビュー

Q. 吟醸酒の魅力を教えてください。
吟醸酒は華やかな香りの良さと後口の良さが魅力で、ダウントレンドになりつつあった日本酒業界を盛り立てた経緯があります。

吟醸酒は、日本酒に興味があるけど飲んだことがないといった新たな層を取り込むための大事な商品になってくると感じています。


Q. 新たな愛飲者の獲得のために、必要なことは何だとお考えですか?
良いものを作っていることは間違いないので、いかに良さを分かりやすく国内外のお客さまに PR 出来るかがポイントになってくると思います。

また、こういったアピールしていく機会を単発ではなく継続的に行っていくことが大切だと考えています。


Q.   マレーシアでイベントを開催するということに何か狙いはあったのでしょうか?
アジアをマーケットとして重要視しています。

アジアはお米の文化であり、親日家も多 いからです。また多文化で共存しあっている国民性があり、異文化を受け入れるのに非 常に柔軟だと感じています。日本文化と日本酒を快く受け入れてもらえると考えました。

特にマレーシアでも人口の三割を占める華人は大事なお客様として捉えています。


Q. 具体的な戦略はありますか?
まずは中華系マレーシア人の皆さんに PR していくことですね。

視察では、華人の方というのは食に対しての関心が強く、生きるエネルギーを感じました。

また、ワインにも造詣が深い方が多いです。ワインは醸造酒であること、多産地であること、価格帯の広さなど、日本酒との類似点も多く、ワインが好きな方であれば日本酒も受け入れやすいと考えています。

PR に力を入れ、日本酒文化を広めていきたいと思っています。


Q. 日本酒は和食に合わせるお酒という印象が強いですが、海外での今後の展望を教えてください。
日本食=日本酒というのは少し古い認識で、現在フレンチやイタリアンレストランなど、
西洋料理店でもドリンクリストに SAKE が入ることが増えています。

また、私は今回マレーシアでインド料理を食べましたが、日本酒と親和性が高いのではないかと思い、現在注目しています。 

このように、日本酒は様々な料理に合う可能性を秘めており、サステナビリティという概念からも、是非日本人の皆さまには地産地消を世界でも実践していただきたいと思っています。


Q. マレーシアに住む日本人の方に向けてメッセージをお願いします!
日本に住んでいて感じる日本酒と、海外に住んでいて感じる日本酒は違うかと思います。

ぜひ皆さんもお一人お一人が日本文化を伝承する者として、マレーシアのご友人にご自
身のお言葉で日本酒を広めていただきたいと思います。

よろしくお願いいたします!


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吟醸酒と大吟醸の違い
吟醸は精米歩合が 60%以下、大吟醸は 50%以下と定められている。

精米歩合とは、玄 米を精米する際、不要な部分を削り落として残った部分の割合を表している。

食用米では精米歩合は 90%程度とあまり削られていないが、日本酒造りにおいては雑味の原因となるたんぱく質や脂質、でんぷんなどが含まれる表層を更にそぎ落とし、より淡麗でスッキリとした味わいになるよう調整されている。
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※1 ペアリングとは、店側が料理一皿ごとに最も合うドリンクを一緒に提供してくれる食事スタイル。
※2 アペロとは、ディナーの前に軽くお酒を楽しむフランスの習慣。

 

 

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