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エステー、マレーシア・UPMと森林資源の共同研究を開始

エステー、マレーシア・UPMと森林資源の共同研究を開始

2026.08.11 ローカルレポ

日本企業の技術と熱帯林研究が連携、新たな天然由来成分の発見へ

「消臭力」や「脱臭炭」などで知られるエステー株式会社が、森林資源を活用した新たな研究開発を本格化させる。

同社は7月20日、マレーシア・プトラ大学(Universiti Putra Malaysia:UPM)熱帯林・林業産物研究所(INTROP)と、森林資源の有効活用に関する共同研究プロジェクトの意向表明書(LOI)を締結した。研究には、日本とマレーシアの産学連携を支援する株式会社リバネスも参画。日本企業の技術とマレーシアの豊かな天然資源、大学の研究力を結び付ける国際共同研究が始動した。

創立80周年を迎えたエステーは現在、「日用品メーカー」から「ウェルネスカンパニー」への転換を掲げる。消臭・芳香分野で培った技術を、人々の快適な暮らしだけでなく、天然資源の活用や環境価値の創出へと広げることを目指している。

北海道で培った森林研究を熱帯林へ

今回のプロジェクトの原点となったのが、エステーが日本で進めてきた「クリアフォレスト」事業だ。

「森の空気はなぜきれいなのか。」

その疑問から始まった研究では、日本各地の森林で空気中に含まれる天然成分を分析。その結果、北海道に自生するトドマツ由来の成分に着目し、精油や樹木水などの有効成分を抽出する技術を開発してきた。

こうした研究成果を基盤に、今回のプロジェクトでは豊かな熱帯林資源を有するマレーシアへと研究の対象を広げる。エステーはこの取り組みを、未知の天然資源を探索する「トレジャーハンティング」と位置付け、新たな天然由来成分の発見を目指している。

独自技術「VMSD」で未利用資源の可能性を探る

研究では、エステーが独自開発した減圧マイクロ波水蒸気蒸留装置(VMSD)をUPMへ導入する。

一般的な水蒸気蒸留では100℃以上で抽出を行うため、熱に弱い天然成分が変質・分解することがある。一方、VMSDは減圧環境とマイクロ波加熱を組み合わせることで、より低い温度で抽出できることが特長だ。これにより、従来法では得られなかった天然成分を抽出できる可能性がある。

研究対象は森林樹木だけではない。

枝葉や樹皮、農業残渣など、これまで十分に活用されてこなかった植物由来バイオマスも対象となる。マレーシアで伝承されてきた植物利用の知見も参考にしながら、有効成分を抽出し、その機能性を評価。将来的には製品開発だけでなく、未利用資源のアップサイクルモデル構築も視野に入れる。

熱帯林研究をリードするUPMの知見

研究パートナーとなるUPMは、マレーシアを代表する研究大学であり、農学・森林科学分野で国際的にも高い評価を受けている。

今回研究を担うINTROPでは、熱帯林資源の保全や有効利用について長年研究を続けてきた。

マレーシアには日本には存在しない多様な植物資源が数多く存在するほか、農業由来の未利用資源も豊富だ。こうした地域ならではの資源とUPMの研究力を組み合わせることで、新たな天然由来成分の発見が期待されている。

研究では、木材だけでなく、これまで森林に残されることが多かった葉や枝にも着目し、新たな高付加価値素材として活用することを目指している。

リバネスが結んだ日本とマレーシアの研究ネットワーク

今回のプロジェクトの実現を後押ししたのが、研究支援企業リバネスだ。

リバネスは2023年にUPMと包括連携協定(MoU)を締結し、翌2024年には代表の丸幸弘氏がUPM森林複合研究センター(INCFOP)の客員教授に就任した。

さらに2024年にはエステーと共同で研究助成プログラム「L-GRANT」を実施。天然由来成分をテーマにマレーシア国内の研究者5組を採択し、その交流を通じて今回のプロジェクトへと発展した。

リバネスは日本企業と海外研究機関をつなぐ「ブリッジコミュニケーター」として、研究成果を社会実装へ結び付ける役割を担っている。

日本とマレーシアがともに創る新たな価値

今回のプロジェクトは、エステーにとって「ウェルネスカンパニー」への転換を加速する重要な取り組みとなる。

一方、UPMにとっても、日本企業との連携を通じて熱帯林研究の成果を国際的なイノベーションへ発展させる新たな機会となる。

また、両者をつないだリバネスのネットワークは、研究成果を社会実装へとつなげる重要な役割を担っている。

熱帯林には、まだ十分に解明されていない天然由来成分が数多く存在すると考えられている。

今回のプロジェクトは、新たな製品開発に加え、森林資源や未利用バイオマスの価値創出につながる取り組みとして、日本とマレーシアの産学連携の新たなモデルとなることが期待される。

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