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マレーシア高等裁判所は12月22日、ナジブ・ラザク元首相(72歳)が残りの刑期を自宅で執行するよう求めた申請を却下したと判断した。ナジブ氏は汚職・資金洗浄事件で有罪判決を受け、現在カジャン刑務所で服役中だが、自身の弁護団は「王による付加命令(アデンダム)」が自宅拘禁を認めるものとして存在すると主張していた。しかし裁判所は、この付加命令が憲法に定められた恩赦委員会の承認を経ておらず、正式な手続きを踏んだ命令ではないため無効だと判断した。
ナジブ氏は2020年、国営投資会社「ワン・マレーシア開発会社(1MDB)」関連の資金不正流用に絡む裁判で4,200万リンギ(約16億円)を横領したとして、権力乱用・背任・資金洗浄の罪で12年の禁錮刑を言い渡された。昨年、恩赦委員会により刑期は半減され、2028年8月までの服役が予定されている。
裁判官は判決で、付加命令は2024年1月29日の恩赦委員会議で議論・承認されておらず、かつ憲法に基づく恩赦委員会の助言を得ていないため、効力を持たないと述べた。これによりナジブ氏は当面、カジャン刑務所で服役を継続することとなる。
弁護側は判決に失望しており、上訴して判断を覆す意向を示している。弁護団はまた、この判断が「王室の裁量権を弱めるもの」と主張し、憲法上の王の恩赦権限に関する議論を呼び起こしているという。
ナジブ氏は1MDB事件の中心人物としてマレーシア政界に長く影響力を持ち、同氏の党である統一マレー国民組織(UMNO)は与党連合の一部として依然として政治的存在感を保っている。今回の裁判所判断は、同氏をめぐる司法と政治の対立が続く中で、大きな転換点となる可能性がある。