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インフルエンサー発信に警鐘 消費者保護法が適用される事例も

インフルエンサー発信に警鐘 消費者保護法が適用される事例も

2025.11.11 政治・社会

マレーシアでは、ソーシャルメディア上で影響力を持つインフルエンサーの発言が、消費者の購買行動やブランド評価に大きな影響を与えており、現在「個人による推薦」と「有料広告」の線引きが曖昧になってきている。マラヤ大学法学部の上級講師、オン・ツェ・チン氏は、「インフルエンサーは広告主・消費者・フォロワーの信頼を背景に活動しており、透明性が欠如すれば詐欺的・誤解を招く表示につながる」として、注意を喚起している。

こうした行為には「消費者保護法1999(Consumer Protection Act 1999)」が適用されることがある。第9条(誤認を招く表現)、第10条(虚偽・誤認表示)、第12条(価格の誤表示)、第13条(ベイト広告)、第15条(誤誘導表示)、第16条(支払い要求に関する不正)、第17条(将来サービス契約)などが、インフルエンサーの投稿にも適用される。

さらに、第18条では「広告で表示・発信された商品やサービスに関する責任は発信者と広告主の双方に及ぶ」と規定され、第25条では「誤認表示や不当表示に関与した者は処罰される」と明記されている。個人インフルエンサーの場合、罰金は最大10万リンギット、懲役は3年以下とされ、再犯時には罰金25万リンギットまたは6年以下の懲役、あるいはその両方が科される可能性がある。

一方、監督官庁である国内貿易・生活費省(KPDN)による監視や法執行は十分とは言えない。2022年には1,281件、2023年には2,608件の誤認広告等の通報があったが、消費者保護法に基づく有罪判決はまだ確認されていない。

インフルエンサーの活動は依然として迅速かつ広範に展開されており、法的枠組みと執行体制の整備が追いついていない現状が浮き彫りとなっている。消費者保護や広告倫理、プラットフォーム責任が焦点となる中、マレーシア政府や規制機関には、発信者が自らの投稿が市場や消費者、ブランドに与える影響を自覚した上で行動するよう監視と透明性強化が求められている。

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