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マレーシア広告業界、デジタル主導から“責任ある表現”へ転換が課題

マレーシア広告業界、デジタル主導から“責任ある表現”へ転換が課題

2026.01.29 経済・現地企業

 マレーシアの広告業界が、構造的な変化の転機を迎えている。従来の広告戦略の中心だったテレビや新聞などの伝統媒体から、ソーシャルメディアや検索、オンライン動画などデジタル広告の比重が急速に高まり、広告費全体の約4分の3をデジタルが占める状況となっていることが明らかになった。こうした流れを受け、業界関係者からは、単なる技術活用にとどまらない「責任ある広告」の在り方を模索する必要性が指摘されている。

デジタル化が進む背景には、消費者がスマートフォンを中心にコンテンツを視聴し、多様なプラットフォームを横断して情報を受け取るライフスタイルの変化がある。広告は単に商品やサービスを売り込むだけでなく、文化や社会に影響を与える「公共的なコミュニケーション」としての側面も強まっているという。

一例として取り上げられているのが、KFCマレーシアが実施したAI生成の“K-pop風ボーイバンド”キャンペーンだ。生成AIを活用した斬新な試みとして評価する声がある一方で、「本物のタレントではない人物を広告に使うことの透明性や意図に疑問がある」と批判する意見もあり、広告における創造性と倫理のバランスへの関心が高まっているという。

海外の事例にも学ぶ必要がある。欧州では、ある大手外食チェーンがAI活用の広告を展開したところ、「感情的なつながりに欠ける」との批判を受けて広告を撤回したケースもある。このことは、技術革新と倫理的配慮の両立が、単なる効率性や視聴率だけでは成し得ないことを示唆している。

デジタル広告は、AIやデータ解析技術の導入により、精度や即時性を高めている。しかし、表示回数やクリック数といった短期的な指標だけを重視するあまり、文化的背景や社会的価値への感受性を欠いたメッセージが拡散されるリスクも指摘されている。多民族・多言語社会であるマレーシアでは、地域ごとの価値観や宗教的背景への配慮が不可欠だとされる。

広告業界の今後は、単なるデジタル技術の活用に留まらず、倫理観と文化理解を土台にした責任あるクリエイティブ表現をいかに追求するかがカギとなりそうだ。専門家は、創造性と倫理的判断の両立を図ることで、信頼と共感を生む広告が目指せると強調している。

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