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マレーシア国王のスルタン・イブラヒム陛下は6月1日、国家理念である「ルクン・ネガラ(国家原則)」を受け入れない者は、マレーシア国民と呼ばれるに値しないとの考えを示し、社会の分断に強い懸念を示した。
国王は王宮で行われた公式誕生日祝賀行事の叙勲式で演説し、ルクン・ネガラは1970年に制定された国民の誓約であり、多民族国家マレーシアの団結と社会調和を支える基盤だと強調。「すべての国民がその精神を尊重し、日常生活の指針として実践すべきだ」と呼びかけた。その上で、「原則を守ろうとしない者は、マレーシア国民と呼ばれるにふさわしくない」と述べ、近年の社会的緊張や価値観の対立を踏まえ、国家理念の重要性を改めて訴えた。
背景には、宗教や民族をめぐる議論の活発化や、SNS上での過激な言説の広がりがあるとみられる。国王の発言は、こうした動きが社会の分断につながることへの警鐘と受け止められている。
また国王は、国家の安定と繁栄は国民の団結の上に成り立つと指摘し、「5月13日事件(13 May Incident)」に言及。「歴史を繰り返してはならない」と警告し、相互尊重と寛容の精神の重要性を強調した。
同事件は1969年、総選挙後の政治的緊張を背景にクアラルンプールで発生した大規模な民族衝突で、主にマレー系と中華系住民の間で暴動が拡大し、多数の死傷者を出した。これを受けて非常事態が宣言され、議会が停止されるなど、国家体制にも大きな影響を及ぼした。
ルクン・ネガラは、この事件後の国民統合を目的に制定された国家理念で、「神への信仰」「国王と国家への忠誠」「憲法の尊重」「法の支配」「礼節と道徳」の5原則から成る。
式典には、首相のアンワル・イブラヒム氏、副首相のアフマド・ザヒド・ハミディ氏をはじめ、閣僚や各国外交団が出席した。