ホームマレーシアニュース2024年予算案を発表 過去最高の3938億リンギを計上
2024年予算案を発表 過去最高の3938億リンギを計上

2024年予算案を発表 過去最高の3938億リンギを計上

2023.10.14 経済・現地企業

アンワル・イブラヒム首相兼財務相は10月13日午後、総額3938億リンギの2024年度連邦政府予算案を発表した。過去最高だった昨年度の3880億リンギを上回る予算額となった。

運営費が3036億リンギと77%を占め、開発費に901億リンギが割り当てられた。

連邦政府の歳入は3076億リンギに微増するとみられる。これは経済活動が拡大し、企業の収益向上が大きく寄与するため。歳出の減少に伴い2024年の財政赤字は国内総生産(GDP)の4.3%にまで縮小すると見込む。

政府系ファンドの1MDB債の償還がないため、財政負担は減り、GDPの19.9%にあたり3938億リンギに減少するとも見込まれている。

今回注目されたのは、飲食や通信業界以外の業界に対して現在6%のサービス税を8%に引き上げること。また、砂糖税の引き上げやハラル認証手続きの短縮なども注目を浴びた。

政府予算案の要旨は下記の通り。

●投資関連
・高成長・高付加価値分野の支援向けに政府関連企業に15億リンギを充てる。
・マレーシア共同投資基金制度(MyCIF)に3年間で1億リンギを拠出。環境、社会、食糧安全保障、各州のイスラム宗教評議会での取り組みを支援。
・イスラム経済研究支援に2000万リンギ。
・ビデオゲーム製作会社からの投資を引き出すために3000万リンギ。
・新興企業を支援するワンストップセンター「MYStartup」を設立するために2800万リンギ。

●開発・公共事業
・連邦道路と橋の補修に28億リンギ。
・住宅建設プロジェクトに24.7億リンギ。
・政府宿舎の建設と維持管理に24億リンギ。
・クランタン州、ペルリス州、ヌグリ・スンビラン州の農村部の道路建設と補修に16億3000万リンギ。
・クランタン州、サバ州、ラブアン島の水道供給問題の解決に11億リンギ。
・全国の公衆トイレの維持・修理に1億5000万リンギ。
・スランゴール州クラン港の道路整備に5000万リンギ。
・150の地方自治体の排水溝の維持・修繕向けに2000万リンギ。

●補助金
・ディーゼル油の補助金は段階的に合理化する。
・極貧層に対して月4000万リンギを上限とする電気代補助に5500万リンギ。
・電気代補助金の合理化を継続する。

●税金関連
・サービス税を6%から8%に引き上げる。飲食と通信業界は対象外とする。
・宝飾品や時計など特定の高額商品に対する高額商品税を5%から10%に引き上げ。外国人観光客には適用されない。
・2024年3月1日から10%のキャピタルゲイン税を導入。非上場地場企業の株式売却に適用。
・新規上場(IPO)を含む特定の株式市場活動での利益に対するキャピタルゲイン税課税を検討。
・2025年にグローバルミニマム税を導入する。全世界での所得が7億5000万ユーロ以上の企業を対象。
・年間所得が1億リンギを超える納税者に2024年8月1日から電子インボイスの使用を義務付ける。
・投資を誘致するため、70%または100%の段階的投資税制優遇措置を導入。
・ジョホール州のプンカラン複合石油コンビナートへの投資に対する特別税制優遇措置を導入。
・新興企業やエンジェル投資家への投資に対する税制優遇措置を2026年12月31日まで行う。
・復職した女性に対する税制優遇措置を2027年12月31日まで延長。
・イスラム証券の売買従事者への控除措置。
・イスラム金融に携わるラブアン法人に対する5年間の控除措置。
・スキルアップコースに対して2000リンギの減税措置を2026年まで延長。語学、写真、裁縫コースも対象とする。
・マレーシアで撮影する映画製作会社、外国人俳優、クルーに対し最高10%の所得税率。
・育児手当の所得税非課税限度額を2400リンギから3000リンギに引き上げる。
・外国人や外国企業による不動産譲渡の印紙税を4%。永住者は対象外。

●教育関連
・教育省に587億リンギを拠出。
・学校の補修工事に19億リンギ。
・サバ州、サラワク州、パハン州、ペラ州、クランタン州の新設の学校26校に25億リンギ。
・学校のコンピューター室のアップグレードと維持に1億リンギ。
・パンデミック中に学校を中退した者への支援に1億リンギ。

●高等教育
・高等教育に163億リンギ。
・全国立大学でのWiFiアクセス改善に2億5000万リンギ。
・地方大学のインフラ整備に3億リンギ。
・マレーシア工科大学に国内初のAI施設を設置するために2000万リンギ。
・教育ローンを10%から15%割り引く。
・公立大学の入学金の上限を1500リンギにする。
・授業料を支払う余裕のない学生に対してコースへの登録を禁止しない。

●保健関連
・保健省に412億リンギを割り当て。
・医薬品とワクチン購入に55億リンギ。
・ジョホール州、クランタン州、スランゴール州の各病院の新規開発プロジェクトに10億リンギ以上。
・サラワク州独自のがん研究所開発計画を支援。
・老朽化したクリニック400か所の補修に3億リンギ。
・民間病院への治療委託に2億リンギ。
・妊婦の健康診断と予防接種に1億3000万リンギ。
・砂糖税を1リットルあたり40センから50センに引き上げ。
・噛みたばこに物品税5%を課税。

●安全保障
・内務省に190億リンギを割り当て。
・国境関連機関を統合して2000万リンギを拠出。
・海外シンジケートの被害に遭ったマレーシア人の救済向けに1000万リンギを追加。
・国家詐欺対応センター支援に1000万リンギを追加。
・中銀バンク・ヌガラは2024年半ばまでに国家詐欺ポータルを開発。

●国防
・国防省に197億リンギを割り当て。
・新たに軍用ヘリコプター12機、装甲車60台、軽戦術車50台、ホバークラフト6機、支援車両733台、軽警察機7機、警察用ヘリコプター5機を調達。
・陸軍キャンプの下水道システムの改善に2000万リンギ。

●環境
・二酸化炭素排出量削減の産業を支援するため、金融機関に2000億リンギの融資を行う。
・植林のスポンサーや環境保全プロジェクトを実施する事業体に減税。
・森林再生支援のため、最大10億リンギのスクークを発行。
・野生動物ににより経済的損失を被った国民への1000万リンギの援助。
・伐採者や密猟者から永久森林保護区を守るコミュニティ・レンジャー数増加のため6000万リンギ。
・炭素プロジェクトの測定や検証に費やす企業に最大30万リンギの減税。
・全国2000か所以上の危険度の高い斜面の復旧に5億6300万リンギ。

●雇用とコミュニティ支援
・職業訓練校(TVET)に68億リンギ。
・マダニ・コミュニティ開発プログラムに10億リンギ。
・TVETでの教育ローンに1億8000万リンギ。
・華人の新村に1億リンギ。
・協同組合に1億リンギを支援。
・公認の非イスラム教の礼拝施設に5000万リンギ。
・ギグワーカー9000人への訓練と所得代替インセンティブに3500万リンギ。
・地元労働者を訓練する企業に奨励金3000万リンギ。

●農村コミュニティ関連
・農村地域の人々のための社会的取り組み(移動クリニックや移動歯科診療所、移動裁判所など)に2600万リンギ。
・オラン・アスリに3億3300万リンギ。起業家活動や植林プログラムを含む。
・農村部でのシャトルバスサービス支援に9600万リンギ。

●交通
・プラサラナ社やLRT3号線沿いに電気バス150台と停留所3か所を設置のために6億リンギ。
・サバ州とサラワク州の地方航空輸送に2億900万リンギ。
・バス変革プログラムに1億5000万リンギ。
・農村道路沿いに街灯6万基の設置と50万基以上の街灯の保守に1億3400万リンギ。
・LED電球の街灯の交換費用に1億リンギ。
・地方自治体による街灯のLED電球に5000万リンギ。
・渋滞や事故の多い地域にスマート信号機を設置。5000万リンギを割り当て。
・パハン州州ティオマン空港の旅客施設の改善と滑走路の延長に4700万リンギ。
・年収12万リンギ以下の電動バイクの購入者に2400リンギの控除。
・電気自動車(EV)向け充電費用に2500リンギの免税措置を延長。
・貧困家庭に子ども用ヘルメット10万個を配布。
・LRT3号線で計画中止となった5駅(トロピカーナ駅、ラジャ・ムダ駅、トゥマシャ駅、ブキ・ラジャ駅、バンダル・ボタニック駅)の建設を47億リンギを投じて復活。

●商品関連
・自動化に対する税制優遇措置を日用品分野にも拡大。
・ゴム生産奨励金を1キロあたり2.7リンギから3リンギに引き上げ。4億リンギを割り当てる。
・パーム油の樹木の植え替えに1億リンギ。
・パーム油産業の持続可能性プログラムを支援するため7000万リンギ。

●産業関連
・新産業マスタープラン(NIMP)2030を促進するため、2億リンギ。
・ペラ州クリアン地区にハイテク工業団地を開発。
・ブミプトラ起業家に対して16億リンギの融資と保証。
・輸出市場を持つフランチャイズ支援に1000万リンギ。
・「ショップ・マレーシア・オンライン・プログラム」の支援に4000万リンギ。
・「マレーシア産購入キャンペーン」支援に2700万リンギ。

●中小企業や零細企業向け
・零細中小企業向け融資・融資枠に440億リンギ。この中にはBSNからの小口融資14億リンギ、女性・青年起業家向け7億2000万リンギ、インド企業向け3000万リンギなどを含む。
・中小企業のデジタル化と自動化支援に中銀からの融資に9億リンギ。
・全国のホーカーと公共市場のアップグレードに1億1000万リンギ。
・中小企業2万社のデジタル化支援に1億リンギ。
・新しい事業所スペース4000か所の開発に5000万リンギ。入居企業に6か月間の賃貸料を無料とする。
・全国の屋台1万軒の補修工事に1000万リンギ。

●農業と食料安全保障
・卵と鶏肉の価格上限を引き上げ。
・農家支援のため、コメの下限価格を1トンあたり1300リンギに引き上げ。
・ペラ州、ペルリス州、クダ州のコメ収穫量増のための試験的プロジェクトに30億リンギ。
・漁師と稲作農家に補助金と奨励金26億リンギ。
・食糧安全保障プログラム支援に4億リンギ。
・丘陵地でのコメ生産拡大のために補助金5000万リンギ。
・自然災害の被害を受けた農民・漁民への補償に5000万リンギ。
・漁民向け新住宅建設に1000万リンギ。

●観光
・「ビジット・マレーシアイヤー」を2026年に決定。年間の観光客目標数を2610万人とする。
・観光プロモーション向けに3億5000万リンギ。
・ペルリス州、パハン州、ヌグリ・スンビラン州などの特定のスポーツ観光地の補修と維持に2000万リンギ。

●芸術と文化
・クリエイティブ産業の支援に1億6000万リンギ。地元映画製作を支援。
・サラワク州、クダ州、ペラ州のユネスコ遺産の保全に8000万リンギ。
・芸術・文化振興のため政府機関に5000万リンギ。
・クアラルンプールの文化遺産の保全向けに2000万リンギ。
・サバ州、サラワク州、ペラ州、トレンガヌ州の文化活動支援に1000万リンギ。
・国際的なアーティストの興行税を10%引き下げ。
・テーマパークの興行税を5%引き下げ。
・連邦直轄区の娯楽税を改定へ。

●青少年とスポーツ
・20万リンギ未満の負債を抱える若者支援に破産制度を拡大。
・政府公認団体でのボランティア活動をする青少年に500リンギの報奨金。
・アスリートのトレーニング支援向けに国家スポーツ評議会に1200万リンギ。
・スポーツ用品の購入に最大1000リンギの控除。トレーニング費用にも適用される。

●サバ州とサラワク州
・サラワク州に58億リンギ、サバ州に66億リンギを割り当てる。
・ビントゥル港の引き渡しと地方空域の運営について、サバ州とサラワク州と交渉中。
・サバ州南部でのハイブリッド・ソーラー・エネルギー・プロジェクトの実施を支援。

●災害管理
・パハン州、スランゴール州、ヌグリ・スンビラン州、サバ州、サラワク州、クダ州、クランタン州の33の洪水緩和プロジェクトに118億リンギ。
・災害管理庁(NADMA)の洪水対策に3億リンギ。

●法律と法改正
・裁判所のアップグレードと裁判官の養成に3800万リンギ。
・1983年薬物依存者(治療およびリハビリテーション)法を改正する。
・第一次産業の戦略的投資家に対する雇用パスの承認緩和へ。ビザ自由化計画を導入する。
・熟練労働者の供給を促進するため、学業を終えた外国人学生を対象とした社会訪問パスの延長を導入。
・インド、中国、中東からの観光客や投資家に「マルチプル・エントリー・ビザ」を提供。また、「ビザ・オン・アライバル・プロセス」を緩和する。
・マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)プログラムの要件を緩和する。

●その他
・「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」支援に20億リンギ。
・科学技術・イノベーション省や高等教育省の研究開発費に5億1000万リンギ。
・研究開発エコシステムの支援に7600万リンギ。
・「5Gサイバーセキュリティ・フレームワーク」と地元専門家の育成に6000万リンギ。
・パレスチナに1000万リンギの人道支援。
・ハラル認証プロセスを51日から30日に短縮。
・前科者向けの「セカンド・チャンス・プログラム」に1000万リンギ。
・「フレキシブル口座」と呼ばれるEPF口座を新設。積立者はいつでも利用可能。
・主婦のための社会保障制度に5000万リンギ。「e-Kasih」に登録した40 万人の女性が対象。

Tweet Share
ローム クランタン州の工場に新棟を竣工
ローム クランタン州の工場に新棟を竣工
ペラ州 新ハイテク工業団地の土地確保
ペラ州 新ハイテク工業団地の土地確保

Mtown公式SNSをフォロー

関連メディア