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2023年GDPが3.7%増 輸出低迷で減速

2023年GDPが3.7%増 輸出低迷で減速

2024.02.20 経済・現地企業

マレーシア中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は2月16日、マレーシアの2023年の国内総生産(GDP)が前年比3.7%増加したと発表した。厳しい外部環境の中で輸出が低迷し、前年(8.7%)の高成長から減速した。

BNMによると、2023年のGDP成長率は第2四半期(4~6月)に2.9%、第3四半期(7~9月)に3.3%、第4四半期(10~12月)に3.0%。国内では2022年に経済が開放し始めたことで大規模な政策支援が失効したにもかかわらず、経済活動と労働市場の継続的な回復が成長を支え、堅調な成長は強靭(きょうじん)な対外ポジションによって強化されているという。

家計支出は労働市場環境の改善とコスト圧力の緩和によって引き続き支えられた。失業率は新型コロナウイルス流行前の水準である3.3%まで低下し、労働参加率は過去最高を記録。投資活動の伸びは企業による複数年にわたるプロジェクトの漸進的な実現と生産能力の拡大に支えられた。

また、輸入が増加する中、輸出は外需不振が長期化した影響で低迷。供給面では、一次産品セクターが石油・ガス生産の増加や労働供給の改善を背景とした農業の拡大に支えられて成長した。サービス業と建設業は引き続き拡大し、製造業は電気・電子産業の低迷が続き軟調に推移した。

総合インフレ率は生鮮食品などのインフレ率が緩やかに低下したことで2023年第4四半期(1.6%)も低下傾向に。2023年全体で総合インフレ率は2.5%となり、前年(3.3%)から低下した。

国内金融市場は引き続き、世界の金融政策の行方をめぐる期待の高まりにリードされた。米国の政策金利はすでにピークに達しており、ディスインフレが進行する中、米連邦準備制度理事会は2024年に政策金利の引き下げに着手するとの見方が強まったことから、2023年第4四半期のリンギは米ドルに対して2.1%上昇し、広範な米ドル安を受けて地域通貨と同水準となった。マレーシアの対外的な地位もまた資金流入の支えとなっており、BNMは国内の外国為替市場の秩序ある機能をフォローするため、引き続き十分な流動性を確保するという。

2024年の成長に関しては、底堅い国内支出と外需の回復により改善すると言及。国際通貨基金は世界貿易の成長率が2023年の0.4%から2024年には3.3%に回復すると予測しており、テクノロジーのアップサイクルと相まって外需の補強と観光セクターの継続的な改善がマレーシアの輸出を支えるとみている。

国内では家計支出は雇用の継続と賃金の伸びに支えられ、投資活動は民間・公的セクター双方による複数年にわたるプロジェクトのさらなる進展、さまざまな国家基本計画の下でのイニシアチブの実施などに支えられ、 観光客数と消費の改善が今後も続くと予想。総合インフレ率とコアインフレ率は緩やかに推移するとみているが、補助金や価格統制に関する国内政策の変更、世界的な一次産品価格や金融市場の動向にも大きく左右される。

国営ベルナマ通信の記事によると、アンワル・イブラヒム首相兼財務相はこの発表を受けて2024年にGDP成長率4~5%を達成すると強調。「財政赤字をさらに縮小させ、新たな経済成長に向けて社会改革と正義を実現するためにその実施を加速させる」と述べた。 

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