第12次マレーシア計画を上程 経済成長に重点-2021/09/28
2021.09.28 経済・現地企業イスマイル・サブリ首相は9月27日、中期計画である「第12次マレーシア計画」(2021~2025年)を国会に上程した。
同計画は昨年に上程する予定だったが、新型コロナウイルスの感染深刻化で数度にわたって上程が延期されていた。実施年に同計画を上程する事態となり、実質的な実施期間は4年ちょっととなる。
首相は、「マレーシア・ファミリー:繁栄、包括、持続可能性」の目標を掲示。経済成長に重点を置き、公正・公平な分配と環境の維持を含めた9つの重点分野を挙げた。その上で、同計画に関するプロジェクトに4000億リンギを投じると説明した。
要旨は下記の通り。
・2021年から2025年までの国民総生産(GDP)の成長率の予測は年平均4・5%~5・5%。
・2025年までに1世帯の平均収入を1万リンギにまで引き上げる。
・ギグ・エコノミーを支えるエコシステムを構築。
・クランタン、ペルリス、サバ、サラワク、トレンガヌなどの州のGDP成長を向上させ、都市部と農村部の経済格差を縮小させる。
・2025年までに極貧層を撲滅させる。
・貧困層、中流層向けに手頃な価格の住宅50万戸を建設。
・外国人出稼ぎ労働者の割合をマレーシアの労働力の15%にまで制限。
・女性の雇用市場の比率を2025年に59%とする。女性が働きやすい環境を整える。
・第5世代移動通信システム(5G)のエリアを加速するため、民間企業が150億リンギット以上を投資。
・5Gネットワークを2021年末から導入。
・政府サービスのデジタル化を2025年までに80%を目標とする。
・ジョホールバルのブキチャガー駅とシンガポールのウッドランド・ノース駅を結ぶ高速鉄道(RTS)を2021年末に建設開始。
・東海岸鉄道(ECRL)プロジェクトを再開させ、2026年の完成を目指す。
・パリ協定に沿って、温室効果ガスの排出量を2030年までにGDPの45%に削減。
・マレーシアを2050年に「カーボンニュートラル」とさせ、炭素税などを導入。
・2025年までに再生可能エネルギーをマレーシアの総エネルギー量の31%に引き上げる。さらなる石炭発電所は建設しない。
・国内120都市を持続可能な都市とするため、「グリーン都市開発」を実施。
・国家ワクチン開発ロードマップを策定中。
・マレーシア伝染病研究所を2022年にヌグリ・スンビラン州ニライのバンダル・エンステックに設立。
・選挙権を18歳に引き下げるため、憲法改正を実施する予定。