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手頃なEV登場も…マレーシア、ASEAN諸国には依然後れ

手頃なEV登場も…マレーシア、ASEAN諸国には依然後れ

2025.12.02 経済・現地企業

マレーシアでは最近、価格を抑えた電気自動車(EV)が登場するなど、EV市場の裾野拡大が進んでいる。だが一方で、普及率やインフラ整備の面では、依然として東南アジアのライバル国に大きく遅れを取っている。専門家は「大きなポテンシャルを秘めつつも、克服すべき課題が多い」と指摘する。

国内最大手自動車メーカー Proton が投入した新型EV Proton e.MAS 5 は「国民向け手頃なEV」として注目を集め、発売後わずか数週間で5,000台超の予約を獲得した。価格は RM 56,800 からと比較的抑えられており、マレーシアでのEV普及拡大への希望を象徴するモデルとされる。

このような“手頃な EV の登場”により、利用者層は広がりつつあるが、現状の全体像を見ると、EV市場はまだ黎明期にある。2025年初から8月までの間に登録された EV の台数は前年同期比で63%増と伸びを見せたものの、その販車全体に占める割合は約 4.2%にとどまり、普及の「飛躍」には至っていない。

背景には、充電インフラの不足や価格面でのハードル、そして政策支援の限界などがある。EV導入を後押しする税制優遇などの制度はあるが、ASEAN 内の他国と比べるとインフラ整備や補助の規模で見劣りする。その結果、マレーシアの EV 市場は「早期採用層」が中心で、本格的な普及拡大にはまだ「先」があると分析されている。

それでも、自動車業界や政策当局は、今後の成長に期待を寄せている。複数のブランドが手頃なEVの投入や国内組立てを進めており、インフラ整備の遅れを補うべく充電ステーションの拡充が議論されている。だが、普及を飛躍的に加速させるには、消費者の価格面の負担軽減とインフラ整備の両輪が不可欠との見方が強い。

マレーシアにとって、EVは「可能性ある未来」だ。ただ、その未来を現実にするためには、価格、充電環境、政策支援という「三本柱」の改善が求められている。

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