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米国の24%関税が迫る中、マレーシア輸出業者に深刻な懸念広がる

米国の24%関税が迫る中、マレーシア輸出業者に深刻な懸念広がる

2025.06.05 経済・現地企業

米国がマレーシアからの全輸出品に対して24%の関税を課す方針を示す中、その発動まで1か月を切り、国内の輸出業者から懸念の声が強まっている。
 

マレーシア製造業者連盟(FMM)は、現時点で輸出企業の約52%が関税引き上げによって需要が減少すると予想しており、約半数が利益率が30%以上低下する可能性があると回答していると明らかにした。

FMM会長のソー・ティアン・ライ氏は、特に米国との製造拠点と連動する電子機器製造サービス(EMS)などのコストに敏感な業種では、事業縮小を余儀なくされる可能性があると警鐘を鳴らした。


ソー氏は、「受注の減少、利益率の縮小、コスト圧力の長期化が重なれば、輸出依存度の高い産業に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。

米国は4月に、貿易不均衡をもとに国別の関税率を再交渉するための90日間の猶予期間を設けており、この交渉期限は来月初旬に終了する見込みである。

仮に関税率が10~15%の範囲に抑えられたとしても、マレーシアは引き続き米国市場への優遇アクセスを持つ他国に比べて競争劣位に立たされる可能性が高く、米国企業の調達先が長期的にシフトする懸念もあるとFMMは警告した。


2025年4月以降、マレーシアから米国に輸出される全製品にはすでに10%の関税が課されており、従来は低関税または無関税だった企業への負担が顕著になっている。

FMMはまた、投資貿易産業省(MITI)が設立した国家地政経済指令センター・タスクフォースの取り組みや、最近のワシントンDCへの貿易使節団による米通商代表部との協議を高く評価し、鉄鋼やアルミニウムなど特定製品の関税除外を目指す交渉が重要だと強調した。


社会経済研究センター(SERC)のリー・ヘン・グイ専務理事は、地元企業の動向に基づき、電子・電気(E&E)分野を中心に米国向け輸出の前倒しが見られていると述べた。

リー氏は、「多くの企業は、より高い関税発動前に出荷を終えようとする動きが4月から顕著になっており、この傾向は5月から6月初旬まで続く可能性がある」と述べた。


一方、米国のバイヤーの中には、関税の最終決定を見極めようと出荷や納品を控える姿勢も見られ、24%への引き上げとなればコストを吸収できずに取引を見送るケースも想定されるとした。


現在、マレーシア企業と米国バイヤーの間では、関税負担の分担を巡る協議が続けられており、企業側の調整作業は交渉期間終了後も継続される見通しである。


マレー経済行動評議会のアハマド・ヤジッド・オスマン上級研究員は、「原則として、マレーシアは関税が課されることを受け入れるべきだ」とし、国内消費の喚起や経済の多様化が急務であると訴えた。

「全てのセクターが同じように影響を受けるわけではなく、輸出依存の高い構造から脱却し、内需や非輸出型産業への投資によるリスク分散が必要だ。今回の状況は、構造転換の機会とも捉えるべきだ」と語った。

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