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ポストパンデミックの労働市場で不安が広がる中、AI技術の進化を背景に「偽の求人詐欺」が世界的に急増している。
マレーシアでも状況は深刻化している。警察や国家詐欺対応センター(NSRC)は、SNSやメッセージアプリを通じた「高収入の在宅ワーク」や「海外での好条件の仕事」をうたう勧誘が急増していると警告している。多くの場合、正規企業を装った偽サイトや求人広告が使われ、採用が決まった後に保証金や研修費を要求されるケースが典型的だ。さらに深刻なのは、就職を口実に求職者をカンボジアやミャンマーなどに誘い出し、人身取引に巻き込む事例も明らかになっている点である。2024年のマレーシア国内の就職詐欺報告件数は数千件にのぼり、被害額は数億リンギに達したとされる。
専門家は、生成AIによって偽の募集要項や企業ロゴ、リクルーター名義のメールが簡単に作成できることが、詐欺の巧妙化と急増を後押ししていると指摘する。企業側も応募者を装った詐欺に狙われるリスクが高まっており、採用プロセスの透明性確保や本人確認強化が求められているが、十分な対応はまだ途上にある。
マレーシアや東南アジアで就職を考える日本人にとっても、この問題は決して無関係ではない。現地の求人サイトやSNS経由のオファーには注意が必要で、面接があまりにスムーズに進む場合や、契約前に金銭や機材購入を要求される場合は特に警戒が求められる。また、会社住所や担当者連絡先が曖昧な場合も典型的な警告サインだ。
就職詐欺は、被害者の経済的損失だけでなく、安全や尊厳をも脅かす深刻な犯罪である。AI時代における就職活動では、これまで以上に慎重さと情報リテラシーが求められており、マレーシアを含む東南アジアで仕事を探す人々にとっても、常に「疑う視点」を持つことが最大の防御策となる。