ホームマレーシアニュース在マレーシア日系企業 事業拡大意欲は5年ぶりの水準も人材不足感際立つ ジェトロ調査
在マレーシア日系企業 事業拡大意欲は5年ぶりの水準も人材不足感際立つ ジェトロ調査

在マレーシア日系企業 事業拡大意欲は5年ぶりの水準も人材不足感際立つ ジェトロ調査

2023.12.21 マレーシアニュース

日本貿易振興機構(JETRO)クアラルンプール事務所は12月15日、2023年度「海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」におけるマレーシア進出日系企業の特徴と東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国(ベトナム、タイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、フィリピン)の比較を公表した。マレーシアでは2023年に黒字を見込む企業の割合が3年連続で上昇し、事業拡大を検討する割合も5年ぶりに5割を超えた。一方で6割超の企業が人材不足に直面しており、人材確保の課題も浮き彫りになった。


在マレーシア日系企業のうち、2023年の営業利益見込みを「黒字」と回答したのは67.9%。マレーシアを除くASEAN主要5カ国が前年より軒並み落ち込む中、4.9ポイント増え、ASEAN平均60.9%を大幅に上回った。業種別にみると、黒字割合は製造業が67.5%、非製造業が68.5%で、2022年度調査と比べると、それぞれ7.3ポイントと2.2ポイント上昇し、特に製造業の上昇が顕著となった。

出所:JETROクアラルンプール事務所


ただ、2023年の営業利益見込みが2022年より「改善」と回答したのは34.2%で、前年より13ポイント下落。「悪化」(34.8%)と拮抗(きっこう)する結果となり、2023年の景況感を示す業況判断指数(DI値)はマイナスに転じた。

2024年の営業利益見通しは「改善」が42.4%と前年(34.2%)より上昇し、「悪化」が13.1%と前年(34.8%)より縮小。DI値は29.9ポイント改善してプラス29.3となる見込みだ。また、今後1~2年の事業展開の方向性について「拡大」と回答したのは50.2%と5年ぶりに5割を超え、販売会社(91.3%)、不動産・賃貸業(83.3%)、小売業(80%)など非製造業で拡大意欲が顕著に。拡大理由(複数回答)は「現地市場ニーズの拡大」が58.8%と最多で、「輸出の増加」(33.8%)、「高付加価値製品・サービスの受容性が高い」(23.8%)が続いた。
 

出所:JETROクアラルンプール事務所


マレーシアにおける投資環境上のメリット(複数回答)として約8割が言語・コミュニケーション上の障害の少なさを挙げる一方、リスク(複数回答)は人件費の高騰、従業員の離職率の高さ、労働力の不足・人材採用難など人材関連に集中。「人材不足の課題に直面している」と回答したのはASEAN主要6カ国で最も高い63.5%に上り、特に工場作業員と専門職種の不足感が際立った。
 

出所:JETROクアラルンプール事務所


このほか、脱炭素化に取り組んでいるのが80.5%(実施予定を含む)、サプライチェーン(供給網)における人権問題を重要な経営課題として認識しているのが85.7% などの結果も取りまとめた。さらに市場開拓においては将来的に地場企業、富裕層向けを強化する方向性であるものの、市場の小ささ、政府・産業界とのコネクション不足に加え、多様な人種ゆえのマーケティングの難しさといったマレーシア特有の問題点も提起された。

同調査はアジア・オセアニア計20カ国・地域に進出する日系企業の活動実態を把握するため、JETROが1987年から毎年実施。今年は1万4018社を対象に8月から9月にかけて行い、4982社から回答を得た。マレーシアでは321社が回答した。

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