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JETROクアラルンプール事務所がこのほど発表した「2024年度海外進出日系企業実態調査」によると、マレーシアにおける日系企業が営業利益の改善、人材育成、脱炭素の推進などを通じて成長を続ける一方で、競争の激化や労働市場の課題に直面していることが浮き彫りとなった。
マレーシアの日系企業は2024年の営業利益見込みにおいて4年連続で改善を上げる企業が多いという結果となった。
2021年度に59.7%だった営業利益の黒字割合は2024年度に70.8%まで上昇し、ASEAN主要国の中でも唯一継続的な伸びを示している。
アフターコロナにおける現地人材の育成や雇用増加も目立ち、マレーシアでは現地人材の育成に取り組む企業が58.8%、雇用増加が35.8%に上り、他国を上回った。また、今後1~2年で事業拡大を検討する企業は48.9%と約5割を維持している。
特筆すべきは脱炭素への取り組みで、実施している企業は43.2%、実施予定も含めると83.5%と主要国中最多となった。
市場シェアに関しては、非製造業での拡大が見られる一方、競争相手の増加が課題として浮上している。
市場シェアが「増加した」と回答した企業は4割弱で、非製造業の方がシェア拡大を実感している。
しかし、競争相手の「増加」を感じている企業は44.1%に上り、非製造業では過半数が競争の激化を指摘している。競争相手としては地場企業が69.5%、日本企業が62.3%、中国企業が57.3%となっており、特に電気電子(E&E)産業において中国企業が強力な競争相手として認識されている。
人件費高騰や離職率の高さも深刻な課題となっており、ASEAN主要国の中でもマレーシアの離職率の高さは最も深刻とされている。
ベースアップ率は2025年に4.2%と見込まれており、製造業の給与水準は非製造業の約2倍となっている。
サプライチェーンマネジメントにもインフレの影響が及んでおり、「世界的なコスト増」が最大の課題として挙げられた。企業はサプライヤーの分散化や現地調達の増加などで対応しており、電気電子産業を中心に他国・地域からマレーシアへの生産移管も進展している。
また、在マレーシア日本企業の78.9%がFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)を活用しており、輸送機器や鉄鋼、食料品分野で積極的に利用されている。
輸出先のうち、FTAの発効が期待される相手国・地域としてEUが66.7%、米国が61.1%となっており、貿易協定のさらなる発展が注目されている。