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マレーシアの国営石油会社Petronas(ペトロナス)は現在、サラワク州政府との間で州内外の炭化水素(石油・天然ガス)資源の管理を巡る激しい対立にさらされており、その行く末が国家にとって極めて重要な局面を迎えている。政府による財政依存度の高さと、国内外での石油資源の採掘採算性の低下が同社の事業モデルに圧力をかけている。
サラワク州側は、国家の特別目的会社であるPetroleum Sarawak Berhad(通称 Petros)が、同州の陸上・海上の炭化水素資源開発においてより強い役割を果たすべきだと主張しており、Petronasが保持する規制権限を州側に譲ることを求めている。この動きは、1974年制定のPetroleum Development Act(PDA)でPetronasが全国の石油・ガス資源の唯一の管理者とされた伝統的な体制を揺るがすものである。
Petronasは国外でも事業を展開し、2024年度には総資産約 RM7667億、売上 RM3200億で利益 RM550億を計上するなど、国内随一の巨大企業であるが、原油価格の変動、採掘コスト上昇、やや採算の取れにくい油田での生産といった課題が顕在化している。一方で、州との交渉では進展が限定的であり、Petros による州独自の規制や作業許可の強化が、Petronas の規制・管理業務を重複させ、業務効率や責任の所在を不明瞭にする懸念が指摘されている。
また、Petronas の収益が政府の歳入に大きく寄与しており、配当金や税金を通じて政府予算の重要な財源であるため、この対立が長引くと国家財政に深刻なダメージを与える可能性があると専門家は警告している。 アンワル・イブラヒム首相は、サラワク州首相との間で共同開発合意を結んだが、その実効性については疑問視されており、交渉の行方が注目される。