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アンワル・イブラヒム首相は11月24日、就任から1年を迎えた。
2018年に政権交代が起き、政治的に不安定な政権が続いたが、アンワル首相は少なくともこれを安定させることに成功している。ただ、経済政策次第で今後の政権運営が不安定化する可能性もある。
マラ工科大学(UiTM)コミュニケーション・メディア学部のアブドゥル・アジズ・アジザム上級講師は、「この12か月で安定した政権を作ることには成功した」と評価。ただ、主義主張の異なる国内のさまざまな政党をまとめるという非常に難しい課題に直面しているとも指摘。「意見の違いをうまく処理し、政権の方向性を明確にすることができれば、それが政権に力を与えることになるだろう」とも期待を示した。
しかし、経済問題については専門家の間で評価は分かれる。
ムアマラト銀行のチーフ・エコノミストのアフザニザム・アブドゥル・ラシド氏は「前例のない厳しい世界経済の状況にもかかわらず、国の経済的な回復力と競争力を維持させた」と評価。失業率も低下し続け、第3四半期の経済成長率が3.3%を記録したことも評価している。
一方で、先ほどのアブドゥル・アジズ・アジザム上級講師は「インフレ率は低下しているとはいえ、国民は依然として物価上昇の重圧を感じていることは間違いない」と指摘。経済政策を最優先に進める必要があるが、実を結ぶまでには2年半から3年はかかるとも話し、経済問題で評価するにはまだ時期尚早だとの見方を示した。リンギは対米ドルで今年に入ってすでに6%下落し、株価指数も大きく低下しているため、手放しで評価することは難しい。
独立系調査のムルデカ・リサーチは先に、首相の支持率が50%にまで低下したと発表。昨年12月には68%あった支持率が大きく下がったのは経済問題が原因と結論づけている。
首相は議会で一部野党議員からの支持も取り付けている。それまでの政権は与党議員の造反で崩壊したが、アンワル政権はこれまでのところそういった事態には直面していない。このため、当面は安定した政権運営ができるが、長期政権につなげるには経済政策の効果をどう上げていくかにかかっていそうだ。