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マレーシア南部ジョホール州で、高技能人材の国外流出が今後さらに加速する可能性が指摘されている。背景には、2027年初頭に開業予定の高速鉄道RTSの存在がある。
同州の元首相であり、現在は経済顧問を務めるハスニ・モハマド氏は、RTS開業によりシンガポールとの往来が大幅に容易になることで、より多くの高技能人材が高賃金を求めて同国へ流出する可能性があると警鐘を鳴らした。
RTSはジョホールバルとシンガポール・ウッドランズを結び、移動時間を約5分に短縮する計画で、1時間あたり最大1万人を輸送できる見込み。現在でも約40万人のマレーシア人が日常的に国境を越えて通勤しており、交通利便性の向上は人材移動をさらに加速させるとみられている。
ハスニ氏は「これまで通勤には早朝から渋滞を伴う移動が必要だったが、RTSによって移動が容易になれば、より多くの高技能人材がシンガポールでの就労を選択する可能性がある」と指摘した。
こうした状況を踏まえ、同氏は州政府に対し、初任給水準(約4000~5000リンギ)の見直しや、高技能人材の定着を促すインセンティブの導入を提言。特に、ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)における税制優遇などにより、購買力向上と競争力強化を図る必要があると強調した。
また、投資環境の改善も急務だとし、水道や電力などインフラ供給に関する承認手続きの遅れが投資家の不安要因になっていると指摘。加えて、不動産価格の上昇や政策の不透明性、人材不足なども外国企業にとっての懸念材料となっている。
ハスニ氏は、ジョホール州が単なる低付加価値の生産拠点にとどまるのではなく、高付加価値産業の誘致を進めるべきだと強調。マレーシアとシンガポールの協力関係についても、投資利益のバランスを再検討する必要があるとの認識を示した。
RTS開業は経済活性化の起爆剤と期待される一方で、高技能人材流出という新たな課題への対応が、ジョホール州の持続的成長の鍵を握るとみられている。