ホームマレーシアニュースマレーシア、大学・大学カレッジ法を廃止へ――55年続いた大学統制に転換点
マレーシア、大学・大学カレッジ法を廃止へ――55年続いた大学統制に転換点

マレーシア、大学・大学カレッジ法を廃止へ――55年続いた大学統制に転換点

2026.08.19 政治・社会

マレーシア政府は、1971年に制定された大学・大学カレッジ法(Universities and University Colleges Act 1971、UUCA/AUKU)を廃止する方針を決めた。アンワル・イブラヒム首相が8月15日、与党・人民正義党(PKR)全国大会で明らかにした。政府は、学生の政治活動や発言などを巡る自由をさらに拡大し、大学をより開かれた環境へ移行させる考えだ。

UUCAは、単に学生の活動を規制する法律ではない。公立大学や大学カレッジの設立、運営、管理、ガバナンスの基本的な枠組みを定める、マレーシアの高等教育制度の基幹法に位置付けられている。学生団体の活動や政治参加、懲戒手続きなども同法の対象となってきたため、大学の自治や学生の表現の自由を巡る議論と深く関わってきた。

特に問題視されてきたのが、学生や大学関係者の政治活動、発言などに対する規制だ。UUCAは1971年の制定以降、複数回にわたり改正されてきた。2012年の改正では、学生が学外で政党活動に参加することを認めるなど規制が緩和された。2024年の改正でも学生の懲戒手続きや学生団体の資金管理などが見直された。しかし、学生側からは自由化が十分ではなく、より抜本的な改革が必要との声が続いていた。

今回、アンワル首相が廃止を表明した背景には、こうした段階的な改正では学生側の要求に十分応えられないとの判断がある。首相は、これまでの改正によって学生に一定の自由を認めてきたものの、なお不満を抱く学生から意見書が提出されたことを説明し、より大きな自由と民主的な空間を確保するため廃止を決めたとしている。

もっとも、UUCAを廃止するだけでは、高等教育制度を支える法的な枠組みがなくなる。このため政府は、UUCAに代わる「新たな高等教育法(One Higher Education Act)」の制定を進める。高等教育省によると、新法では大学の自治や学問の自由、学生の意見を尊重する一方、大学運営に必要なガバナンスや説明責任も確保する方針だ。

廃止方針を歓迎する学生・若者団体がある一方、具体的な廃止時期や新法の内容を明確にするよう求める声も出ている。55年間続いた大学制度の根幹を見直す改革だけに、「学生の自由」と「大学運営の責任」を新たな法制度の中でどう両立させるかが今後の焦点となる。

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