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配車サービスやフードデリバリーアプリの利用拡大に伴い、マレーシアでも利用者によるチップの支払いが目立ち始めている。アプリ上にチップ機能が導入されたことで感謝を示しやすくなった一方、労働者側からは制度のあり方を巡る課題も浮かび上がっている。
従来、チップは祝儀や感謝を表す任意の行為として認識されてきた。しかし昨今では、配車アプリやフードデリバリーアプリの画面上にチップの選択肢が表示されることで、利用者の目にも触れやすくなっている。利用者がチップを選択する例は増えているものの、多くの労働者にとってチップは収入の確実な構成要素ではなく、予測のできないものという実情があるという。
ある配車ドライバー(38)は、チップが入る頻度はまちまちで、額も50セント程度の少額から10リンギ前後まで幅があると語る。「荷物を手伝った時や車内が清潔だった時にチップをもらうことがある」とした上で、チップが期待される文化に変わることに懸念を示した。もしチップが当然視されるようになると、サービス水準への期待も高まる一方で、チップが無い場合にトラブルに発展する可能性もあると指摘している。
別のドライバーは、チップは主に顧客がサービスに満足した時に渡されるものであり、「義務ではなく感謝のしるし」であるべきだと語る。現状では、ドライバーがチップを受け取る機会は週に2~3回ほどにとどまり、労働者側がチップを生活の一部として当てにするには程遠い状況だという。
一方、フードサービス業界では、チップ自体がほとんど浸透していないという声もある。カフェで働いていた経験を持つ女性は、チップが一般的になればモチベーション向上につながる可能性を示しつつも、チップはあくまで顧客の選択に委ねられるべきだとの見方を示した。
このように、チップの文化は徐々に広がりつつあるものの、依然として任意性が強い慣習であり、労働者の収入安定にはつながっていない。利用者側・労働者側双方がその意味や位置づけを理解した上で、適切な形で感謝を示すことが求められている。