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世界が変容する中、デジタルトランスフォーメーション、グリーン経済、高齢化社会の進展が労働の様態そのものを揺るがしている。そんな中、マレーシアは迷わず先手を打った。国家が、プラットフォーム労働者=ギグワーカーに対して制度的な保護を与える法律を施行したのだ。これは単なる政策変更ではない。仕事の在り方が変わる過渡期において、国が変化をリードしたという宣言である。
この法律では、ギグワーカーが一定の契約や取引関係を持つ事業者と連携する限り、公正な保護措置を受けられることが明文化された。従来は“周辺的存在”と見なされがちだった人々が、労働体系の中核に組み込まれる。
マレーシア政府はこの法整備を起点に、クアラルンプールで9月29日から10月3日に開催される 世界社会保障フォーラム(WSSF) を通じ、国際的な社会保障の未来を議論する場を設ける。1500人を超える代表団が集い、「移行期の世界における社会保障のかたち」をテーマに議論を交わす。首相や大臣、技術専門家、国際機関トップらが参加を予定している。
マレーシア人事省長官スティーヴン・シムは、「歴史的な瞬間だ。ギグワーカーを制度の表舞台に引き上げる法律を制定したことで、マレーシアは世界の前衛に立てる」と語る。法律成立とWSSFの開催は、途上国が変化を追うのではなく、 世界の労働モデルを創る可能性を帯びた国になる という意思の表れでもある。
マレーシアは、変化の波にただ乗るのではない。新たな社会契約を形作る国になろうとしている。世界が注目する舞台が、今、クアラルンプールに開かれようとしている。