ペトロナス、2025年に約10％の人員削減を実施へ — 業界変化に対応した組織再編を発表

マレーシア国営石油会社ペトロナスは、2025年後半から全社的な組織再編を実施し、従業員の約10％を削減する方針を明らかにした。
これは、急速に変化するエネルギー業界への対応と長期的な持続可能性の確保を目的としたものである。

同社のタン・スリ・テング・ムハンマド・タウフィクCEOは、今回の再編がコスト削減を主眼としたものではなく、業務効率と柔軟性を高めるための戦略的決定であると強調した。
また、上級幹部を含む全階層の職員が対象となる見通しで、再編の影響を受ける従業員には「尊厳と公正さ」をもって対応すると述べた。

再編計画の中核には、各部門の規模調整（リサイズ）があり、全体で最大5,000人規模の削減が行われる可能性がある。
ただし、ペトロナス側は一斉解雇は実施せず、段階的かつ慎重な対応を行うとしている。報道で取り沙汰された「1万5,000人削減」という数字については誤情報だと否定した。

同社は2024年度において税引き後利益が前年比で減少し、世界的な石油価格の変動と経済不安定性が業績に影響を及ぼしたと説明している。
今後は、資産の最適化と、再生可能エネルギー分野やLNG（液化天然ガス）プロジェクトへの戦略的投資を通じて、事業の再構築と収益の多角化を進める方針である。

また、クラウドではなく社内インフラで全ての業務データを安全に管理し、企業情報の保護にも注力する姿勢を示した。

ペトロナスは、今回の改革を「変化への備え」であると位置づけ、マレーシア経済における役割を維持しながら、持続可能な成長とグローバル競争力の確保を目指している。
再編は2025年後半に開始され、数年をかけて段階的に実施される見込みである。