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トラック多すぎ、鉄道少なすぎ マレーシア物流危機の構造的原因

トラック多すぎ、鉄道少なすぎ マレーシア物流危機の構造的原因

2025.07.14 政治・社会

マレーシアでは近年、致命的なトラック事故が相次ぎ、GPS未搭載やブレーキ故障、過労運転などが原因とされるが、これらはあくまで表面的な問題に過ぎない。
根本的な原因は、本来鉄道が担うべき重量貨物輸送をトラックが肩代わりしている現状にある。道路は貨物トラックで溢れ、渋滞や事故を招き、安全性と物流効率を著しく低下させている。
鉄道貨物への移行は長年進まず、巨額を投じた複線化や電化投資も活かされていない。

その背景には、高速道路事業者の収益確保の思惑や制度上の問題が潜む。
現在、鉄道関連資産は鉄道資産公社(RAC)が保有し、運行はKTMBが担当するが、KTMBはインフラ投資や貨物ターミナル建設の権限も資金も持たず、自由に経営判断ができない。
RACは商業的利益に乏しく、貨物輸送強化への動機が薄い。この分断構造が鉄道貨物の停滞を招き、道路輸送偏重を生み出している。

欧州や日本、中国のようにインフラと運営を一元管理する統合モデルが不可欠だが、マレーシアでは政治的意思の欠如と旧来の制度が改革を阻んでいる。
このままでは、物流コストの増大と交通事故の多発という「負の連鎖」から抜け出すことは難しく、今こそ持続可能な物流インフラの再構築に向けた抜本的な政策転換が求められている。

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