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Innoqua Asia Sdn. Bhd.、マレーシア・サイバージャヤに海洋研究ラボを開設

Innoqua Asia Sdn. Bhd.、マレーシア・サイバージャヤに海洋研究ラボを開設

2026.05.04 ローカルレポ

環境移送技術を活用した海洋実証拠点が始動

株式会社イノカの現地法人である Innoqua Asia Sdn. Bhd. は、2026年4月20日(月)、マレーシア・サイバージャヤに新たな海洋研究用ラボを開設し、開所式を開催した。

本施設は、リバネスマレーシアが運営するインキュベーション施設「Center of Garage(COG)」内に設置され、独自の「環境移送技術」を活用することで、マレーシア沿岸の海洋環境を水槽内に再現した研究が可能となる。なお、本水槽は経済産業省の「令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」により制作されたものである。

当日はパネルセッションやラボツアーが実施され、海洋イノベーションにおける実証研究の可能性が議論された。

パネルセッション「Aquarium Systems as Platforms for Marine Research & Innovation」

■研究と社会実装をつなぐ海洋実証拠点

本ラボの特徴は、海洋環境の再現にとどまらず、企業や研究機関の技術を実際の社会実装につなげるための検証が可能である点にある。

サンゴ礁、海草、マングローブといった海洋生態系を対象に、温度・塩分・水質・栄養塩などの環境条件を精密に制御しながら、実海域に近い環境を室内で再現する。

これにより、従来は自然環境に依存していた評価を、再現性のあるデータとして取得することが可能となり、企業は製品や素材が海洋環境に与える影響を事前に検証できる。

■化粧品・素材分野における環境評価の高度化

化粧品分野では、サンゴ礁を含む海洋環境との共生を前提に、製品開発や環境影響評価を重視する動きが広がっている。

資生堂と株式会社イノカは2023年にパートナーシップ契約を締結し、海洋環境再現技術を活用した化粧品成分の影響評価に関する研究を進めている。特に日焼け止めなどに含まれる成分については、サンゴ礁や海洋生態系への影響が世界的な関心事項となっており、科学的エビデンスに基づく評価の重要性が高まっている。

同研究では、水槽型の環境再現技術を用いることで、自然環境では再現が困難な条件下においても、サンゴや海洋生物への影響を精密に検証することが可能となっている。

さらに、海水温上昇など将来の環境変化シナリオを再現することで、単一成分の影響にとどまらず、海洋生態系全体への長期的影響を多角的に評価する枠組みが構築されている。

■企業にとっての価値:ESGから事業開発へ

Innoqua Asia Sdn. Bhd.は本ラボを、単なる研究施設ではなく「事業判断を支える実証基盤」として位置付けている。

企業に提供される主な価値は以下の通りである。

・製品・素材の海洋環境適合性評価(ESG・規制対応)

・開発段階での環境リスク低減と上市前検証

・海洋由来成分の生活材への活用(シャンプーなどのヘアケア・日用品への応用)

・海洋副産物のアップサイクルによる海洋栄養剤としての活用(これまで廃棄されていたものの再資源化)

・海洋由来資源・副産物の新しい用途開発

・ブルーカーボン領域における共同研究・実証

これにより、環境対応を「コストとして対応するもの」から「新しい事業を生み出すきっかけ」へと転換することが可能となる。

■Managing Director PT氏が語る設立意義

Innoqua Asia Sdn. Bhd. Managing DirectorのPT氏は、海洋生態系研究のバックグラウンドを持ち、アカデミアから産業領域へとキャリアを移行した研究者である。PT氏は、研究と社会での活用の間には依然として大きな距離があるとした上で、「このラボの役割は、その距離をデータと再現性によって埋めることにあります」と語る。

また、マレーシアに拠点を置く意義については、「東南アジアは世界有数のサンゴ生態系を有し、研究と実用化を同時に進める上で非常に重要な地域です。加えて、大学・企業・行政の連携が進めやすい環境が整っている点も大きな強みです」と述べる。

さらに産業連携についても、「企業の技術や副産物には、環境負荷となる側面と同時に、新たな価値を生み出す可能性もあります。それを科学的に見極め、社会で活用できる形へとつなげていくことが重要です」と強調した。

■産学連携の広がりと今後の展開

本ラボでは、マレーシア国内の大学(USM、UMT、UMSなど)との共同研究を進め、サンゴ礁・海草・マングローブを対象としたフィールド調査を強化していく。

またサバ州(ボルネオ島)での自然環境調査の可能性も含めた展開が検討されており、ネイチャーポジティブ領域との連携も視野に入っている。研究・観光・産業を横断する新たな連携モデルの構築が期待される。

将来的には、東南アジア各国の環境データを活用し、海洋環境を再現・比較可能な広域実証ネットワークへの発展も視野に入れている。

■おわりに

Innoqua Asia Sdn. Bhd.の海洋研究ラボは、「海を守るための研究施設」から、「海と産業の接続点」へと進化する実証拠点である。

環境対応はもはや規制対応ではなく、企業競争力と事業創出の源泉となりつつある。

本ラボは、海洋という実環境を通じて、技術や研究成果を、事業や社会課題解決に活かすための新たなプラットフォームとして、マレーシアからその役割を広げていく。

会社情報

Innoqua Asia Sdn. Bhd.

Center of Garage, Block 10, 2330, Jalan Usahawan, Off, Persiaran Multimedia, 63000, Cyberjaya, Selangor

お問い合わせはこちらから
Info@innoqua.jp

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