ホームタウン情報【寄稿記事】成長・イノベーション・人材育成を牽引する日馬パートナーシップ 在マレーシア日本国大使 四方敬之 氏
【寄稿記事】成長・イノベーション・人材育成を牽引する日馬パートナーシップ 在マレーシア日本国大使 四方敬之 氏

【寄稿記事】成長・イノベーション・人材育成を牽引する日馬パートナーシップ 在マレーシア日本国大使 四方敬之 氏

2026.05.04 ローカルレポ

日本とマレーシアの関係は、今大きな転換点を迎えています。

かつての「学ぶ関係」から、「共に創る関係」へ――。

外交関係樹立70周年を目前に控え、両国は人材、産業、テクノロジーの分野で、これまで以上に深い連携を進めています。

本稿では、大使ご自身の言葉を通じて、現地で感じられている手応えとともに、日馬関係の現在地と今後の可能性についてご紹介いたします。

*本稿は、在マレーシア日本国大使・四方敬之氏が、マレーシア有力英字紙 The Star に寄稿された内容を、日本語訳として掲載するものです。

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マレーシアに着任してから1年半が経ちましたが、私は今なおこの国の活力、文化的多様性、そして日本への深い親近感に感銘を受け続けています。

ラマダンの時期に地元の市場を歩き、ナシレマやミーゴレンなどのローカル料理を味わい、学生やビジネスリーダーと交流するたびに、両国関係の基盤となる「人と人とのつながり」を日々実感しています。

日本とマレーシアの関係は約70年にわたり、両国はマレーシアの人材と産業基盤の発展に共に取り組んできました。ルック・イースト政策のもと、約28,000人のマレーシア人学生や研修生が日本で学び、工学、技術、経営のスキルを習得しました。彼らの多くは帰国後、マレーシアの産業・技術分野の発展に貢献しています。

現在も、UTM内のマレーシア日本国際工科院(MJIIT)などの機関がこの流れを継承し、半導体、AI、工学分野で即戦力となる人材を育成しています。

また、開学2年目を迎えた筑波大学マレーシア校(UTMy)も、次世代のエンジニアや研究者を育成し、マレーシアのイノベーション基盤に貢献しています。これらの取り組みは、人的資本の発展が産業成長を支える好例です。

人材育成と並行して、日本企業による投資も拡大しています。現在、約1,600社の日本企業が製造業、テクノロジー、サービスなど幅広い分野でマレーシアに進出しており、その多くが事業を拡大しています。

半導体や電子産業からグリーン技術に至るまで、これらの投資は雇用創出や産業基盤の強化につながり、マレーシアは日本企業にとって信頼できるパートナーであり続けています。

また、日本政府が掲げる17の成長戦略分野(AI、半導体、量子技術、サイバーセキュリティ、グリーントランスフォーメーション、バイオテクノロジー、航空宇宙、持続可能エネルギーなど)は、両国の協力の指針となっています。これらはマレーシアにとっても具体的な利益をもたらします。

■ 半導体・AI分野

ペナンは半導体後工程の世界的拠点となっており、ルネサスエレクトロニクスなど日本企業も進出しています。NTTデータはジョホールやサイバージャヤでデータセンター投資を拡大し、AIやクラウド分野を支えています。

■ グリーントランスフォーメーション(GX)

マレーシアは日本のLNGの15%を供給しており、サラワクの水力資源は水素やアンモニア、CCUSの拠点として期待されています。CHITOSEはサラワクで世界最大規模の微細藻類生産施設を稼働させ、ユーグレナはPETRONASと共同で持続可能航空燃料(SAF)事業を推進しています。

■ 食品・バイオテクノロジー

マレーシアのハラール認証は世界的に信頼されており、味の素マレーシアなどは中東や日本へ輸出しています。また、キャメロンハイランドのいちご栽培や藻類研究など、農業とバイオ分野での共同イノベーションも進んでいます。

■ コンテンツ・デジタル産業

日本のアニメ、漫画、ゲームはマレーシアで非常に人気が高く、同国はASEANのコンテンツ拠点としての可能性を持っています。KADOKAWAとGempak Starzの協業や、LaLaport BBCCのK+ストアなどを通じてIPの共創が進んでいます。また、日本デザイナー学院マレーシア校(2022年開校)も人材育成に貢献しています。

これらに加え、医薬、先端医療、航空宇宙、防災、物流、海事、防衛などの分野でも協力の余地が広がっています。

これらの取り組みは、2026年3月31日に開催された「新日馬産業協力セミナー」でも議論され、具体的な投資や共同プロジェクト、人材育成の方向性が示されました。

かつてのルック・イースト政策が「日本から学ぶ」ことを重視していたのに対し、現在は「互いに学び合い、共に創る」関係へと進化しています。私はこれを「Look at Each Other」と表現しています。

近年では、日本人学生がマレーシアの大学で学び、研究に参加する動きも増えています。マレーシアの人材、デジタル基盤、資源と、日本の技術や投資が融合することで、双方に利益をもたらす産業が共創されています。

2027年に外交関係樹立70周年を迎えるにあたり、日馬関係は人材育成、産業協力、イノベーションの面で強固な基盤を築いています。

「ルック・イースト」から“Look at Each Other”へ――

両国は今後も共に持続可能な成長と繁栄を実現し、ASEANにおけるモデルケースとなることが期待されます。

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※本記事は、在マレーシア日本国大使・四方敬之氏が The Star に寄稿された英語原文をもとに、日本語訳として掲載しております。掲載にあたり、関係各所より許可を得ております。

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