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「マレーシアは比較的安全だから大丈夫」――そう思っている人にこそ、今一度確認してほしい。
犯罪の入口は、暗い路地や人混みだけではない。電話、SMS、WhatsApp、メール、SNSなど、毎日使うスマートフォンの画面から犯罪に巻き込まれるケースが増えている。
在マレーシア日本国大使館で、在留邦人や日系企業を取り巻く治安情勢と防犯対策について話を聞いた。
マレーシア国家警察の統計では、詐欺被害は過去10年間で20万件以上、被害総額は約90億リンギに上る。2024年の被害件数は3万5,368件と10年前の約5.6倍。2025年も11月末時点で約6万7,000件、被害額は約27億リンギに達している。
「比較的安全な国」という印象だけで安心せず、「日本と同じ感覚で生活しない」ことが重要だ。
在留邦人が特に注意したいのが、電話、WhatsApp、メール、SNSなどを使った詐欺だ。警察、銀行、取材機関、配送業者などを名乗り、不安をあおって個人情報や銀行情報、認証番号を聞き出したり、送金を求めたりするケースが確認されている。
少しでも疑わしい場合は一度連絡を切り、自分で調べた公式連絡先から確認する必要がある。
偽サイトにも注意したい。検索結果の上位やSNS広告に表示されたサイトだからといって、公式サイトとは限らない。
マレーシア入国時に必要となるデジタル入国カード「MDAC」についても偽サイトへの注意喚起が行われている。公的な手続きは、URLを確認し必ず公式サイトから行いたい。
投資詐欺やロマンス詐欺も増えている。「必ずもうかる」「元本保証」「短期間で高い利益」「今だけ」といった言葉には特に注意が必要だ。SNSなどで親しくなった相手から投資や送金を持ち掛けられるケースもある。本人確認が十分にできない相手へ安易に送金してはいけない。
送金前には、マレーシア警察が提供する「Semak Mule」で銀行口座や電話番号などを確認する方法もある。ただし、情報が表示されないからといって安全が保証されるわけではない。
企業では、なりすましメール、請求書詐欺、送金先変更を装った詐欺、経営幹部を装った送金指示などに注意が必要だ。特に取引先から「振込先が変更になった」と連絡があった場合、メールへの返信だけで確認せず、既に登録してある電話番号など別の手段で直接確認することが重要となる。
万が一、被害に気付いた場合は、まず被害の拡大を止める。追加で送金しない、相手との連絡を止める、銀行やカード会社へ連絡する、パスワードを変更するなど、速やかに対応したい。
電話番号、WhatsAppやSNSのやり取り、送金記録、口座番号、ウェブサイトの画面などの証拠を保存しておくことも重要だ。また、違法な仕事やいわゆる「闇バイト」の勧誘にも絶対に関わってはいけない。
マレーシアは多くの日本人にとって暮らしやすい国だ。一方、海外で生活する以上、日本とは異なる犯罪リスクがある。
肩書きをすぐ信じない。急がされても送金しない。個人情報・認証番号を教えない。
少しでも怪しいと感じたら、一度連絡を切り、公式の連絡先から確認する。
知らない番号からのWhatsApp。銀行を名乗る電話。突然の投資話。取引先からの振込先変更。その瞬間に「本当に大丈夫か?」と一度立ち止まる。それだけで防げる被害がある。