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「シンガポール就労はジョホール州の強みに」 経済学者、越境労働のメリット強調

「シンガポール就労はジョホール州の強みに」 経済学者、越境労働のメリット強調

2026.07.10 経済・現地企業

ジョホール州の人材がシンガポールで働くことは、州にとって「人材流出」ではなく経済成長の原動力になり得る――。ジョホール州議会選挙を前に越境就労が争点の一つとなる中、複数の経済学者が、州はシンガポールとの競争ではなく相互補完を目指すべきだとの見解を示した。

アーシャド・アユブ経営大学院のタン・ペック教授は、多くのジョホール州民はシンガポールで働きながら州内に居住しており、現地で得た収入の多くをジョホール州内で消費していると指摘した。シンガポールドルの高い価値を背景に州内の購買力が高まり、小売業やサービス業など地域経済全体への波及効果が期待できるという。

さらに、越境就労は「頭脳流出」ではなく「頭脳循環(ブレイン・サーキュレーション)」につながると説明。シンガポールで培った時間管理や生産性、顧客対応、技術力、専門的なネットワークなどを持ち帰ることで、ジョホール州全体の労働力の質が向上すると述べた。こうした人材を起業支援や若手育成に活用する仕組みづくりも重要だとしている。

マレーシア統計局によると、シンガポールで働くマレーシア人の38%はジョホール州出身で、このうち39%が高度技能職、35%が中技能職に従事している。

一方、マレーシア科学技術大学(MUST)のバルジョヤイ・バルダイ教授は、ジョホール州はシンガポールと競争するのではなく、相互補完関係を築くべきだと指摘した。金融や国際ビジネスに強みを持つシンガポールに対し、ジョホール州は豊富な土地、低い事業コスト、製造業基盤、物流機能、労働力、再生可能エネルギーといった優位性を生かすことで、「双子経済圏」の構築が可能になると分析した。

その実現には、ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)が重要な役割を果たすとし、医療、教育、エンジニアリング、デジタル産業など高付加価値分野への投資拡大を期待した。

また、専門家らは賃金水準の向上だけでなく、公共交通や住宅、医療、教育など生活環境の整備も不可欠だと指摘。高付加価値産業の誘致と人材育成を進めることで、ジョホール州内でも魅力ある雇用を創出し、持続的な地域経済の発展につなげる必要があるとの見方を示した。

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