科学技術の発展と地球貢献を実現する。
Advancing Science and Technology for Global Happiness
設立24周年を迎え、日本国内のみならず、東南アジアの政府・国営企業を巻き込んだ国家規模のディープテック・プロジェクトを次々と主導し、注目を集める同社。今回は、東南アジア統括拠点を置くマレーシアの地にて、グループCEOの丸幸弘氏に、リバネスが歩んできた激動の道のりと、マレーシアから世界へ仕掛ける「地球貢献」の全貌を伺いました。
―まず、リバネスは、どのような思いから始まり、現在の活動へと広がっていったのでしょうか。
リバネスという社名は、英語で「巣立つ」という意味の “Leave a Nest” に由来します。2002年6月14日に、大学院生を中心とする理工系学生15人で立ち上げました。
原点は、研究者の卵だった自分たちが、最先端科学のおもしろさを子どもたちに伝える出前実験教室です。子どもたちがワクワクすれば、科学技術に興味をもち、その中から次世代の研究者が生まれる。そうやって未来に種をまき続けることが、結果として『科学技術の発展と地球貢献を実現する』ことにもつながっていくはずだと考えました。
『科学技術の発展と地球貢献を実現する』
設立から24年が経ち、現在は「知識製造業のリバネス」として活動しています。世の中には埋もれたままになっている知識がたくさんあります。そのあらゆる「知」を僕らが掘り起こし、結びつけることで、次の新たな知識が生まれてくる。それを再び教育にも還元できるし、地球規模の課題解決につながるプロジェクトとして社会実装することもできる。そうやって、組織や分野の壁を越えて、それぞれの「巣」から知を持ち寄り、社会実装の仕組みを創り出すこと。それが今のリバネスの活動になっています。

東南アジアの活動拠点をマレーシアへ
―そのリバネスが、東南アジアのHQをマレーシアへ移しました。なぜ今、マレーシアなのでしょうか。
リバネスは、2010年にシンガポールの現地法人を設立し、東南アジア展開の最初の拠点としました。実は僕自身、父親の仕事の関係で40年以上前、子どもの頃にシンガポールに住んでいたことがあります。当時は屋台が並び、今とはまったく違う風景でした。
その国が、この40年ほどで日本を超えるほどの先進国になった。その変化の潮目を見てきたからこそ、東南アジアには大きな可能性があると感じていました。2010年当時は、まだシンガポールも今ほど発展しておらず、日本と同じくらいの感覚だったんです。だから最初の東南アジアHQをシンガポールに置きました。
それから3年後の2013年に、マレーシアの現地法人を設立し、学校・大学・研究機関・スタートアップとの連携を通じて、東南アジア6カ国へとプラットフォームを広げてきました。
その後シンガポールは想像以上に急速に成熟し、世界的なナレッジハブとしての位置付けに変わろうとしています。一方で、マレーシアは、ASEAN中央に近い地理や多民族・多言語環境、文化的な背景なども踏まえて、「東南アジア」を統括するハブ機能として最適であると感じました。2013年にマレーシア法人を設立した頃、KLセントラルにはまだホテルが数棟とビルがある程度でしたが、空港から30分でアクセスできる環境を見て、「ここは必ず発展する」と感じたのを覚えています。
マレーシアはこれから、アジアにおける、ものづくり、データセンター、半導体、AI、食、エネルギーなどの産業が集積するテクノロジーハブになっていきます。私自身もマレーシアを頻繁に訪れ、日馬間での産業連携が勃興しつつある様子を肌で感じていたからこそ、2024年に東南アジアのHQをマレーシアに移すことを決めました。ここは単なる市場ではなく、日本とともに地球規模の課題解決に挑むパートナーになり得る場所なのです。

科学技術で壊れた地球は科学技術でしか再生できない
―リバネスのビジョンには、どのような思いが込められているのでしょうか。
「科学技術の発展と地球貢献を実現する」というのが、リバネスのビジョンです。僕は 1つ の国や地域だけを良くしたいわけではないんです。限られた場所を良くするのは簡単。他から良いものを持ってくればいい。でもそうすると、取られた側は地盤沈下が起きる。そういった豊かさが偏る仕組みに、僕はすごく納得がいかないんです。
科学技術は、本来、人類を平等に幸せにできるものだと僕は思っています。だけど、いつの間にか戦争に使われたり、自分の会社を守って利益を上げるためだけの道具になっている。そうすると、昔のやり方に戻ればいいとか、科学技術を使わないという方向に世論が動いたりします。でもそうじゃない。科学技術で壊れた地球は科学技術でしか再生できない。
中途半端な科学技術では解決できないから、科学技術をもっと発展させないと地球貢献は実現しないのです。
テクノロジーが世界を汚していた 20世紀から、最先端のテクノロジーがグローバルハピネスのために使われる世紀へ、という思いが僕らのビジョンに込められています。
僕が2019年に『ディープテック DeepTech 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」』という本を書いたのも、そこにつながっています。食料、エネルギー、水、環境、医療。人類が直面する深い社会課題は、一つの会社や国だけでは解決できません。大学、研究者、ベンチャー、大企業、行政までを巻き込み、知識と技術を組み合わせていく必要があるんです。
次の最先端は、子どもたちから生まれる
―リバネスの原点でもある教育は、現在の活動の中でどのように広がっているのでしょうか。
教育は絶対にやめません。研究する人がいなくなったら、地球の未来も、リバネスの存在意義もなくなってしまう。21世紀の技術を作るのは、僕ではありません。次の最先端は、子どもたちから生まれるはずです。だから、地球貢献を実現するという概念を、子どもの教育の中に混ぜたいと思っています。
大切なのは、好奇心です。「なんでだろう」というQuestion(問い)と、それを突き動かすPassion(情熱)。その2つが、イノベーションの原点になると思っています。
さらにリバネスでは、自然を起点にした科学教育「NEST Education」を提唱し、実践しています。NESTは、Nature、Engineering、Science & Technologyの頭文字です。一般的なSTEM教育に、Natureという視点を加えているのが特徴です。
たとえば、敷島製パン株式会社と取り組んでいる「ゆめちから」栽培研究プロジェクトでは、中高生自身が播種・栽培・分析・発表までを行い、日本の食料自給率や気候と農業、品種改良、パンづくりを学ぶことで、自ら問いを立て、新しい知見を生み出していく。また、東レ株式会社と取り組んでいる「青空サイエンス教室」は、水浄化実験、ロケット開発、素材体験などを通じて、自然の中にある身の回りの科学技術を体感するプログラムです。
企業が持つ技術や知識を、子どもたちがワクワクできる形に翻訳して届ける。子どもたちが社会課題と科学技術の接点に触れることで、未来の研究者や起業家が育っていく。そう信じています。
―そうした企業の技術や知識を子どもたちに届ける取り組みは、企業にとっても、自社の技術の意味を見つめ直す機会になりそうですね。
企業側にも、変わらなければならない部分があります。「良い商品だから買ってください」「売上を伸ばしたい」という企業起点の発想が先に立つだけでは、もう消費者の共感は得られません。
リバネスグループに、腸内環境制御技術を開発するベンチャー「株式会社メタジェン」があります。メタジェンでは、カルビー株式会社と共に、一人ひとりの腸内細菌データを解析し、個人の体質に合ったグラノーラを提案する「Body Granola」というサービスに取り組んでいます。既にシンガポールでも展開が始まっていますが、「みんな同じ」ではなく、個人の健康課題に向き合う食の時代が始まっています。
大切なのは、その商品や技術で社会のどんな課題を解決し、どんな未来をつくるのかという視点です。世の中にとって本当に意味のあることに取り組む。その姿勢が共感を生み、結果として商品が選ばれ、事業の成長にもつながっていく。企業もメディアも、そうした挑戦をもっと社会に伝えていく必要があると思います。

8月、マレーシアで開かれる3つの入口
―8月には、マレーシアでリバネス関連の大きなイベントが複数開催されます。まず、サイエンスキャッスルアジアについて教えてください。
サイエンスキャッスルは、日本や東南アジアの中高生研究者たちが、自身の問いから始まった研究を発表し、研究者・企業・大学・他校の生徒たちと議論を交わす場です。単なる教育イベントではなく、未来の研究者が生まれる場でもあり、中高生の知識を企業や研究者、社会と接続する起点でもあります。
プラスチックごみをどうにかしたい、水を浄化できる方法を考えたい。環境、食料、エネルギーなど、そういうテーマに、子どもたちが本気で向き合っています。
2026年8月22日・23日には、アジア各国の中高生研究者が集まる「Science Castle Asia」をマレーシアで開催します。マレーシアに暮らす日本人の方には、必ず見に来てほしい。東南アジアの同世代がどのような課題意識を持ち、どのように研究に取り組んでいるのかを知ることは、大きな刺激になるはずです。

―グローバルアルジーサミットは、どのような位置づけのイベントでしょうか。
リバネスマレーシアを中心に推進している、藻類産業の国際共創プラットフォームです。ユーグレナ(和名:ミドリムシ)をはじめとする藻類は、航空燃料、食料、エネルギーなど幅広い産業につながる可能性を持っています。
実は、僕自身が藻類の研究者でもあり、ユーグレナの研究開発・製造を手掛ける株式会社ユーグレナの創業当初から事業化をサポートしてきました。現在、ユーグレナ社は、マレーシアでもPetroliam Nasional Berhad(ペトロナス社)と連携し、次世代バイオ燃料のプロジェクトを進めています。
このように、グローバルアルジーサミットでは、研究者だけではなく、企業、スタートアップ、投資家も結びつけながら、「どう社会実装するか」「どう産業化するか」までを議論し、藻類を核にした新しい産業エコシステムをつくる場なのです。
―テックプランターアジアについても教えてください。
テックプランターは、東南アジア各国や日本から、ディープテックベンチャーが集まるアジア最大級のディープテック発掘育成エコシステムです。食料問題を解決するために会社を作る。エネルギー問題を解決するために会社を作る。環境問題を解決するために技術を社会実装する。地球上の未解決の課題を解決するために人生をかける、そういうアントレプレナーたちが集まる場です。
日本企業にとっては、次世代の技術や現地パートナーと出会う場にもなります。大企業が持っている技術、工場、ネットワークと、ベンチャーが持っている新しい知識や研究成果を組み合わせれば、もっと大きな課題解決ができる。僕らはベンチャーを育成したいだけではありません。ベンチャーも、大企業も、大学も、行政も、全部が地球貢献のために必要な仲間なのです。
マレーシアから地球貢献を実現する、次の24年へ
―創業24周年を迎え、次の24年をどのように描いていますか。
次の24年も、マレーシアを中心に、東南アジア全体、日本企業、そしてマレーシアに住んでいる日本人の方々をもっともっとこの活動に巻き込んでいきたいです。
2026年8月、マレーシアでは、サイエンスキャッスルアジア、グローバルアルジーサミット、テックプランターアジアという3つの舞台が開催されます。そのすべてが、リバネスの掲げる「科学技術の発展と地球貢献を実現する」というビジョンへと続いています。
だから、日本企業にも、親子にも、子どもたちにも、もっとこの場に来てほしい。マレーシアから東南アジアへ、そして地球全体の未来へ。ここから一緒に動かしていきたいんです。8月のイベントでお会いできるのを楽しみにしています。
2026年8月、マレーシアで開催予定の主なリバネス関連イベント
Science Castle Asia
https: //castle.lne.st/en/schedule/science-castle-asia-2026/
2026年8月22日・23日開催
Global Algae Summit
https:// hic.lne.st/schedule/global-algae-summit-2026/
2026年8月19日開催
TECH PLANTER Asia
https: //techplanter.lne.st/asia_final/asia_final2026/
2026年8月27日開催
インターンシップ・職場体験
リバネスマレーシアでは、日本語・英語を活かしたい学生や若者に向けて、ベンチャー企業でのインターンシップや職場体験の機会も提供予定。







